ほぼ毎回フクアリには行ってますが、
記録を残すことが少なくなりました
今回の湘南ベルマーレ戦後は、時間があり、
試合の内容が濃かったので、感想をまとめることにしました
お盆時期のナイトゲームなので、
気温が高く、消耗戦になると、春先に予想していました
ところが実際は、霧雨が吹きつける体感気温の低い天気でした
yas-mikiはフクアリ生活が長いため、
レインコートの下にも着込んで、寒さをしのぎました
近くの席に座った方は、
半袖で「寒い」と言っておられました
夏場とは思えない天気でしたが、
湘南ベルマーレ戦ということで、非常に多くの方が集まりました
12,500人ほどだったと思うので、
平日ナイターでJ2のフクアリでは、かなり多い方です
アウェークラブが、関東圏の湘南ベルマーレで、
アウェーゴール裏は、緑で埋まっていました
ジェフ千葉のサポーターは、
「首位の湘南ベルマーレには負けられない」
という熱い思いを持って試合に臨んだと思います
その結果、ここ数年で一番の雰囲気のスタンドだったと感じました
予想外の低温・霧雨という気象条件、
それでも散水したピッチコンディション、
熱い応援で後押しするスタンド…
これらが、どちらに味方するのか?が楽しみになる試合前でした
湘南は、千葉のサッカーにどんな対策をするのか?に、
個人的な注目をしていました
前に書いたかもしれませんが、
『ハイライン・ハイプレス』で表現される千葉の特殊なサッカーに対して、
各対戦相手が、どういうサッカーをするのか?
今シーズンの千葉を継続して観る際の楽しみ方だと思っています
例によってDAZNに加入していないので、
湘南の情報はゼロ、千葉はフクアリ戦の情報のみです
試合結果は
ジェフ千葉 0 - 1 湘南ベルマーレ
90分を通して、試合をコントロールしたのは千葉でしたが、
サッカーはゴールの数を競うゲームということを学んだ試合でした
千葉は、湘南対策でサッカーを変えることをせず、
これまで積み上げてきたサッカーで勝負することを選びました
湘南は、今シーズン初めて観るので、よく分かりませんが、
明確な千葉対策はしていない印象でした
もちろん対策として、
攻撃時にサイドで数的優位を作る
守備時に前からプレスをかけて、高い位置でボールを奪う
という狙いはあったかと思います
ただそれは湘南が積み上げたものでもあるので、
千葉対策をするというより、湘南の良さを前面に出そうとしました
前半開始直後に、攻守の切り替えで千葉が優位に立ち、
船山にビッグチャンスがやってきました
シュートはポストに嫌われ、ゴールにはなりませんでしたが、
少なくとも湘南の選手にダメージを与えたように観えました
千葉の後手を踏んでいる時間が長く、
「上手く行っていない」と感じていたはずです
ピッチ内、ベンチ前で、かなりの頻度で話し合いをしていたので、
「なんとかしないと、ヤバイ」という空気を感じました
実際、前半10分過ぎから、やり方を変えたように観えましたが、
明確な効果がなく、耐える湘南 vs たたみかける千葉の構図がはっきりしました
少し落ち着いたと判断したのか?前半35分過ぎから、
元のサッカーに戻したのかな?と思いましたが、
試合の流れを変えるには至らず、前半が終わりました
前半にあったビッグチャンスを、1つでもゴールにしていれば、
試合は決まったかもしれません
結果論ですが、少なくとも0ポイントで終わることはなかったと思います
後半に入って、湘南は選手交代によって、修正を図り、
湘南のサッカーを取り戻そうとしました
それでも「前半ほど悪くない」「上手く耐えている」という印象で、
千葉が主導権を握りました
湘南が修正したこともあり、
千葉のチャンスは、少なくなりましたが、
ゴール前までボールを運べていました
「ゴールが奪えれば、試合が終わるな」という感覚を持っていて、
スタジアム全体が、ゴールを後押しして、素晴らしい雰囲気でした
それでもゴールが奪えないと、
湘南はCKから1点を奪い、3ポイントを勝ち取りました
ボックスの中で、マークを外す動き、
精度の高いキック、
しっかりゴールの枠に飛ばすシュート精度
やはり首位のクラブは、クオリティーが高いです
圧倒的に試合をコントロールされながらも、
90分が終わると、3ポイント獲っている
スタジアムにいた人、テレビで観戦した人のほぼ全ての人が、
「千葉のペースで進んだ」と思える内容でした
近年J1のステージで戦っているクラブの力を感じた試合になりました
基本のフォーメーションは
千葉は1-4-3-3、湘南は1-3-4-2-1でスタートしました
赤を千葉、青を湘南として、
両チームのフォーメーションを重ねてみます
簡単にマッチアップを確認すると、赤の千葉から見て、
CBの所で2対1なので、+1
アンカーが余っているので、+1
湘南のWBが余っているので、-2
一般に1-3-4-2-1を採用しているクラブの場合、
千葉のWGとWBをマッチアップさせて、±0
最終ラインで3対1になり、+2の数的優位を作ることが多いです
湘南は3バックのCBを、千葉のWGにマッチアップさせることで、
サイドで数的優位を作る狙いだったように観えました
試合が始まると、
千葉の前線で大きなスペースでの3対3があることがポイントになり、
千葉が優位に立ちました
そこで湘南は変則的なフォーメーションを採用しました
左サイドの選手をやや下げたように観えました
数字で表すのが難しく、
フラットな1-4-4-2? トレスボランチの1-3-5-2?
とても微妙でした
ここでは1-3-5-2だったと仮定して、
赤を千葉、青を湘南として、両チームのフォーメーションを重ねます
簡単にマッチアップを確認すると、赤の千葉から見て、
両SBが余っているので、+2
アンカーが余っているので、+1
湘南のWBが余っているので、-2
湘南のボランチの所で2対3なので、-1
湘南からすると、サイドの数的優位を捨てて、
中央を手厚くした並びになりました
ただ一番の狙いは、ディフェンスのスタートを低くして、
守備を安定させることでした
色々な狙いを持ったフォーメーション変更ですが、
「苦しい時間を耐える」ことが主目的だったのかもしれません
千葉にコントロールされることは変わらず、
前半のうちに、元の1-3-4-2-1に戻したように観えました
後半も選手交代はありましたが、1-3-4-2-1でスタートしました
ディフェンスのスタートを低くするものの、
前からプレスはかけました
千葉から主導権を奪うには、程遠い内容でしたが、
少し引き戻した印象でした
終了間際に湘南が先制し、
攻める千葉と守る湘南の構図がさらにはっきりしたので、
千葉は選手交代で、近藤をトップに上げ、1-4-4-2に変更しました
短い時間なので、あまり意味がないですが、
赤を千葉、青を湘南として、両チームのフォーメーションを重ねます
湘南はWBを最終ラインまで戻して、
1-5-2-3または1-5-4-1に変更しました
簡単にマッチアップを確認すると、赤の千葉から見て、
CBの所で2対1なので、+1
トップの所で2対3なので、-1
比較的、目の前の相手がはっきりする形でしたので、
しつこく守備に走った湘南の方が戦いやすかった印象です
結果的には、千葉のチャンスを減らし、
3ポイントを勝ち獲ることに成功しました
ベルマーレボールのときは
千葉のハイプレスが面白いようにハマりました
湘南は今シーズン初観戦なので、
何を狙っていたか?を全て理解できませんが、
湘南はやりたいサッカーができなかったように観えました
切り替えを早くして、
サイドで数的優位を作ることを狙っていたかな?と思います
超シンプルに考えると、
湘南の前線では3対4ですが、
WBをケアする選手がいません
(千葉はWGが帰ってくると、かなり押し込まれます)
サイドで、シャドー+WBで数的優位を作って、サイドを攻略する
逆サイドのWBも前線に上げると、5対4になる
この辺りを狙っていたのかな?と感じました
そのためには、前線で時間を作らなければなりませんが、
千葉の守備が良く、早々に潰されてしまいました
千葉から見ると、湘南のWBが上がってくるまでは、
最終ラインで数的優位ですし、その前にアンカーを余らせています
アンカーの熊谷がフィルターになったり、
最終ラインの選手とサンドしたりしてボールを奪えていました
千葉のサッカーを観ていると、
アンカーを余らせることで数的優位を作って、
高い位置でボールを奪うことが生命線です
この試合では、それが上手くハマりました
試合序盤では、
早くボールを奪い、攻守を切り替えることで、
逆にカウンターが決まりました
上がろうとした湘南のWBが、置いていかれるシーンが多く、
千葉がチャンスを作れていた大きな要因でした
その後は前線でキープできてから、WBを上げていたように観えたので、
湘南がやりたい縦に速い攻撃を潰せていたと思います
90分を通じて、前線で時間を作られて、
攻め込まれる回数は少なかったです
時間を作らせなかった要因の一つに、
切り替えの早さが挙げられます
千葉の選手は、ボールを奪われた直後から、プレスをかけ、
湘南の選手に自由にボールを蹴らせませんでした
J2ではクオリティーの高い湘南の選手でも、
自由に蹴れなければ、精度は落ちます
ラフなボールであれば、蹴った先(前線)でも自由にコントロールができず、
数的優位な千葉にボールが転がります
前線からプレスをすることで、精度を下げさせて、
余ったアンカーの所で回収する
という千葉の狙いがハマった試合でした
フクアリに充満していた気合が後押ししたのか?
気温が低かったことで動けたのか?分かりませんが、
1歩目が速かったですし、戦えていました
千葉の選手、特にインサイドハーフの2人が光っていました
高い位置で奪えたシーンもありましたし、
湘南のボール運びを限定して、後ろで奪いやすい守備をしていました
それに呼応する形で、チーム全体が積極的に動けたので、
湘南ペースの攻撃は数えるほどでした
湘南は、選手の間隔を空けて、
プレスがかかりにくくする狙いも持っていたかもしれませんが、
千葉の選手が個々で戦えていました
ボールホルダーをヘッドダウンさせて、囲むことができたので、
湘南の狙い通りに、ボールが動きませんでした
ただセットプレーから1点を失ってしまいました
千葉はマンツーマンで守っていて、
湘南はPKマーク周辺で固まっていたので、
マークが付ききれなかったです
そこへ精度の高いボールが入りましたし、
ムルジャのシュート精度も高かったです
「湘南の選手がスゴかった」ゴールだと思います
いつもの千葉の試合から比べると、
裏へ蹴って、オフサイドの取り損ないを狙う回数が少ないかな?と感じました
湘南が繋ぐ意識が強くしていたかもしれませんし、
千葉のプレスによって、出し手と受け手のタイミングが狂ったかもしれません
裏へのシンプルなプレーでやられなかったことも、
千葉の守備がハマっていたを証明したと思います
ジェフボールのときは
湘南の積極的なプレスを外す、千葉のパスワークが光りました
J2を観ていると、
湘南と同じ1-3-4-2-1を採用するチームは多いですが、
1-5-4-1の形で守ることが、ほとんどです
同じ並びの浦和や広島も似た考えで守備するので、
Jリーグでは、スタンダードな形だと思います
千葉が1-4-3-3で、左のCBにボールが入ったとして、
かなり極端に考えます
1-5-4-1で守ると、守備側は後ろで数的優位を作ります
簡単にマッチアップを確認すると、赤の千葉から見て、
ボールと逆サイドのSBが余っているので、+1
アンカーが余っているので、+1
トップの所で1対3なので、-2
ボールサイドだけを考えると、
千葉のSBを見るのは、シャドー
千葉のWGを見るのは、WBです
守備側が後ろに人を余らせるので、
ボールを動かすのは簡単ですが、
ゴール前をどう攻略するか?が鍵になります
フクアリでの試合を観ていると、ほとんど同じ構図です
ゴール前の数的不利を解消するために、
サイドに人を集めて、CBを引き出す回数が多いかな?という印象です
対して湘南は、1-3-4-2-1を崩さずに守っていました
簡単にマッチアップを確認すると、赤の千葉から見て、
アンカーが余っているので、+1
トップの所で1対2なので、-1
ボールサイドだけを考えると、
千葉のSBを見るのは、WB
千葉のWGを見るのは、CBです
1列前にずらした守り方なので、
千葉からすると、ボールを動かすのが難しくなります
湘南は前からプレスして、ボールを奪うことを狙っているので、
高い位置でボールを奪われるリスクも大きかったです
しかし湘南の狙い通りのシーンは少なかったかと思います
前述のように、千葉の切り替えが早く、ボールを前線に運びました
ボールと逆サイドのWBが置いていかれて、
最終ラインへ戻り切れない
そのため大きなスペースでの3対3になり、
CBがサイドまで出ていいのか?で迷ったように観えました
WGに入った清武、船山の所でボールが収まる、
トップのラリベイも収める能力が高いので、
カウンターでチャンスを量産しました
残念ながら、そこでゴールが奪えなかったことが、
試合を難しくし、勝ち点を伸ばせませんでした
湘南の選手・ベンチが「上手くハマってない」と感じ、
至るところで話し合いをしていたのは、ここに理由があったと思います
そこで一度、守備で耐えるために、
後ろへ重心を移し、最終ラインでスライドできるようにしました
その分、前線でプレスする人数が減ったので、
圧倒的に押し込まれる展開になりましたが、
「最後のゴール前で頑張ればいい」と割り切っていました
全体が落ち着いた前半35分過ぎから、
前からプレスする形に戻したように観えました
ただ守備のスタートを下げて、まず後ろを安定させて、
千葉にカウンターを許さず、後ろでボールを運ばせることを意識していました
切り替えの所でWBが置いていかれると、
千葉優位でボールが動きます
そのため攻撃でWBを上げるタイミングを遅らせて、
置いていかれることをなくし、
カウンターのリスクを減らす考えだったと思います
千葉の最終ラインの選手がボールを持っていても、
他のチームに比べると、湘南はキツいプレスをしてきました
GKを使いながらボールを動かし、大きなミスも少なかったです
湘南が前から来るということは、
後ろは薄くなることと同義です
ボールサイドのWBの裏まで、どうやって運ぶか?が鍵に感じました
WGが開いたり、インサイドハーフが上がったりして、
湘南のCBやボランチをサイドへ引き出すことを狙っていました
そうして、ゴール前の人数を減らすことができましたが、
シュートが決まらず、勝ち点を積み上げられませんでした
湘南のWBが前に出て、スペースを埋めるので、
千葉のインサイドハーフが、その裏(ゴールに近い位置)でプレーする回数が多かったです
町田も、矢田もゴール前で仕事ができる選手なので、
前線と絡める回数が多く、いい攻撃ができました
1年でも重要な試合でしたが、
「最後が決まらなかっただけ」と割り切って、
湘南を圧倒できる攻撃ができたと喜ぶべきだと思いました
試合の感想は
千葉は今シーズンベストの内容だったかもしれません
J2首位の湘南を相手に、ここまで圧倒できたので、
J1クオリティーのサッカーだったと思います
前半のうちに1点獲れていれば、簡単に3ポイントでしたが、
点が獲れないことで、だんだん重い展開にしてしまいました
点が獲れずに推移して、最後の最後に1発でやられるのは、
サッカーでは、よくあることなので、
選手も、サポーターもマズいと思っていたはずです
その懸念通りになってしまいましたが、
スタジアムが一体になって盛り上がった90分でした
0ポイントで終わってしまったことが残念ですが、
「まだまだ希望は消えない」と思える内容でした
平日ナイターでも、多くのお客さんが来ましたので、
「またフクアリに来たい」と思ってくれたのではないでしょうか?
J1昇格のために勝ち点を積み上げることも、もちろん大事ですが、
「ジェフ千葉ファミリーを増やす」ことも大事だと思っています
ピッチで選手が熱く戦い、サポーターが熱く後押しした最高の90分に観えました
湘南戦で、リピーターが増えてくれたら、
3ポイント以上の試合だったのかもしれません
ここ数年のシーズンシートオーナーだから感じるのかもしれませんが、
今年の千葉は『買い』だと思っています
自動昇格は難しくなり、プレーオフで勝ち上がるシナリオになりましたが、
この日のクオリティーなら、勝てると感じました
まだまだ混戦なので、見通すことは難しいですが、
フクアリに通って応援したいと思います
yas-miki
サッカー観戦の参考に
【読書】 サッカースカウティングレポート ~超一流のゲーム分析~
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