「セットプレーは重要」という言葉は多くのサッカーファンが知っています。しかし、どういう戦術があるのか?と聞かれると、答えを持っている人は多くない印象です。
自分もそんな一人です。サッカーのプレー経験はありますが、やはり素人ですので大して精度の高いボールは蹴れなかったです。「とりあえずニア、または中央に蹴っておいて、後はチームメイト任せた!」というキッカーでした。
サッカー観戦でも、ゴールが決まると「ヘッド高かったな」とか「競り合い強かったな」くらいの感想でした。
数年前からキッカーよりもゴール前の走り込みを観るようになりましたが、正直よく分からないことが多かったです。
そんな自分が、ジェフ千葉 vs Vファーレン長崎の試合で、コーナーキックにフォーカスしてみました。
Contents
セットプレーに興味を持ったきっかけ
『元ACミラン専門コーチのセットプレー最先端理論』という本を読みました。
この本は2017年に、本屋で衝動買いしたものの積読本になっていました。何度か挑戦しましたが、途中で飽きてしまいました。
読んで理解できる頭が出来上がったのか?分かりませんが、2019年になって読破できました。
セットプレーのシステム論が面白く、勉強になりましたが、「試す」ことをしませんでした。何となくの知識が増えただけ…あまり身になってない感が強かったです。
また毎回配置を確認しながら観ていても、試合が終わったら忘れてしまいます。セットプレー脳ができていないのか?加齢による記憶力低下なのか?「ゴールになったセットプレーしか覚えてない」試合ばかりでした。
スタジアムでサッカー観戦すると、メモを取りながら観る人がいます。「熱心に観てるな~」と尊敬するばかりでした。
「試合後に覚えてないなら、自分もやってみるか!」と一念発起してみました。
90分の試合をメモするのは、敷居とレベルが高いです。まずはセットプレー、しかもコーナーキックのみメモすることにしました。
セットプレーのシステム
『元ACミラン専門コーチのセットプレー最先端理論』で紹介されているプロセスは3つあります。
戦略(構想と配置)
戦術(準備)
技術(実行)
元ACミラン専門コーチのセットプレー最先端理論
本を読んで、何となくの知識を増やしても、実際のセットプレーを全部把握するのは無理でした。
流れの中のサッカー(要はセットプレー以外のサッカー)を身につけたのと同じように、まずは「数を数える」ことから始めます。先程のプロセスだと、「戦略(構想と配置)」です。
いつもは(ディフェンダー)-(ミッドフィルダー)-(フォワード)と数えます。
そこを(ボール周辺)-(ペナルティーエリア内)-(後方)と数えます。
この本を読んでから、5試合くらいジェフ千葉の試合を観ています。 数を数えると 「毎回同じかな?」とうっすら思うくらいの感覚でした。
「数を数える」時に、何をメモしたらいいのか?さっぱり分かりません。とりあえず時間とサイド、ボールが飛んだエリアを書くことにしました。
時間計測は、ゴール裏の大時計ですので、かなり適当な時間です。
Vファーレン長崎戦のセットプレー を集計
自分のメモだと、ジェフ千葉は14本、Vファーレン長崎は2本のコーナーキックがありました。Jリーグ公式のスタッツとも合致していましたので、メモはできていたようです。
結果的には、ジェフ千葉は14本ものコーナーキックを蹴りながら、コーナーキックからのゴールは0でした。対するVファーレン長崎は2本のコーナーキックで1ゴールでした。
Vファーレン長崎の4ゴールの内、3ゴールは後半のカウンターでした。なので最初にコーナーキックから奪った1ゴールは、試合に大きな影響を与えたように映りました。
ジェフ千葉が蹴ったコーナーキック14本を分解すると、以下のようになります。
左サイドのコーナーキックが多かったのは、ウイングバックに入った為田を積極的に使った結果かもしれません。コーナーキックの奪い方までは、メモれませんでした。
キッカーは船山と堀米が担当していました。2人とも出場している時間は、同じくらいの本数蹴っていました。サイドで決まっている感じはなく、状況に応じてルールがあるのかもしれません。
堀米が下がってからは、全て船山が蹴っていました。フリーキックを蹴ることもあるので、キッカーとして高い信頼を勝ち取っています。
ジェフ千葉の傾向
この試合の目標である「数を数えた」結果です。
ジェフ千葉が蹴った全コーナーキック14本の内、(およそ)89分のコーナーキックを除いた13本が、1-6-3でした。
『元ACミラン専門コーチのセットプレー最先端理論』には、
通常は1-5-4か2-5-3
と書いてあります。
その記述を参考にすると、この日のジェフ千葉は、積極的にペナルティーエリア内に人数をかける配置でした。
対するVファーレン長崎は、マンツーマンで全て対応しました。
ペナルティーエリア内の6人が毎回同じメンバーなのか?は、分かりません。仮に同じメンバーなら、守るVファーレン長崎から見て「想定内」だったのかもしれません。
また狙った(ボールが飛んだ)エリアは、ニア12本で中央が2本でした。
この日だけを見ると、明らかな傾向があるので、何かしらの狙い(自分たちが得意な形なのか?相手の苦手とするエリアなのか?)があったと想像できます。
ペナルティーエリア内の人数や狙ったエリアに明らかな傾向があれば、Vファーレン長崎からすると「見え見えのシチュエーション」で守りやすかったかもしれません。
試合後コメントには紹介がなかったので、完全に結果論です。
「毎回同じ数かも?」と感じていたことは正しかったようです。DAZNで過去の試合を遡ってみたり、今後もメモを続けたりしたら、もっと傾向が出ると思います。(DAZN契約してないのが申し訳ないですが…)
ゴールエリアの人数にバリエーションがある
ジェフ千葉の傾向について、記録しましたが、試合最初のコーナーキックで、「ゴールエリア内の人数も必要かも…」と気づきました。
この「ゴールエリア内の人数」にフォーカスすると、少し違いが出ました。
後半の8本は、ゴールエリア内の人数を散らして(=増やして)きました。
ゴールエリア内を0人にしたり、逆に6人にしたりとバリエーションが増えました。そして4人以上をゴールエリア内に置くパターンが、前半0回から後半5回と増えました。
ペナルティーエリアアーク付近から走り込んで合わせるのではなく、ゴールエリアに人数をかけ、混戦を作る狙いだと思います。
確か京都戦だったと思いますが、ニアですらして、ファーで詰めてゴールを奪った記憶があります。得意な形として続けているのかな?と思いました。
前回フクアリ開催だったFC岐阜戦は、キックオフ直前に歯が痛くなり、ゴールシーンもそこそこに離脱しました。
コーナーキックからゴールを奪っているので、「前回からメモしてれば…」(その前にちゃんと歯磨きしてれば…)と思いました。
ゴールエリア内の人数にバリエーションを持たせることは、「戦略(構想と配置)」のプロセスで、揺さぶりをかけたと言えます。
その後の「戦術(準備)」、「技術(実行)」で一歩及ばなかった印象です。
Vファーレン長崎のセットプレー
2本しかなかったので、傾向も何もありません。
前半にゴールを奪った右コーナーキックは、2-6-2で中央(ややファー)を狙いました。
2-6-2と書きましたが、キッカーが助走に入る前に、後方からショートコーナーを狙って近づきました。なので、最初は1-6-3でした。
ペナルティーエリア内の6人を、ゴールエリア内に2人、ペナルティースポット付近に4人配置していました。
ゴールエリアの2人で、ゴールキーパーの進路を塞ぎ、4人が均等に分かれました。セットプレー素人の自分でも分かる見事なパッケージでした。
前半の左コーナーキックは、1-7-2でニアにグラウンダーでした。ゴールエリア内は2人で、役割は同じように感じました。
Vファーレン長崎にセットプレーは、まさに『セット』プレーで、デザインが見えた気がします。
セットプレーのメモをして分かったこと
今回セットプレー、しかもコーナーキックに絞ってメモしてみました。
「数を数えることから始めよう」イベントでしたが、本数が多かったこともあり、けっこう楽しかったです。自分でも分かる傾向が出て、少し解析班になった気がしました。
同時に仕事として分析することの難しさを実感しました。
「何が必要な情報なのか?」、「どこまで細かく分けるのか?」自分にはノウハウが全くありません。試合後にリプレーで分析ってなると、労力が半端ないです。
Jリーグのプロレベルになると、ノウハウの蓄積があるのかもしれません。「そのノウハウを構築するのって大変だな…」と思いました。
今後もメモを継続して、データが貯まると、何か見えてくることがある気がしました。サッカーの楽しみ方の一つだと思います。
ただ労力がかかる作業なので、今後も続けるか?は「保留」します。
最後にメモって紙とペンが必要で、雨が降ると台無しだと感じました。屋根がある恵まれたフクアリのマイシートだからできますが、雨降りの試合でメモするのはハードルが高いです。
yas-miki
参考にした本の感想・まとめ記事です。