まだ公式で発表されていないものの気になる出来事がありました。
試合後にアビスパ福岡のゴールキーパー セランテスが、ボールパーソンに水をかけたという出来事です。
ジェフ千葉のボールパーソンには、思う所があるので、自分の意見を書いてみたいと思います。
簡単に言えば、選手の行為は容認できるものではありませんが、このような出来事を誘発する環境を作っているジェフ千葉側にも大きな責任があると思います。
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行為の背景にあるもの
自分はタイムアップの笛でフクアリを出たので、水をかけるという行為を実際に見た訳ではありません。
帰りの電車でSNSをチェックしていて知ったので、実際に見ていないという意味では、真偽は不明です。ただ複数の投稿がありましたので、事実なのかな?と思っています。
正確性の欠ける情報を基にしている以上、この記事の正確性も欠けることは十分承知しています。
セランテスが試合中からボールパーソンに怒るシーンが多かったですので、不満を溜めていたと思います。
好セービングを連発していたもののアビスパ福岡というチームをしては完敗でした。また1失点目は自身の判断ミスによるゴールでした。選手としては、フラストレーションが溜まる試合になってしまいました。
非常にナーバスになっての水をかける行為だったと推察されます。
選手の暴力行為は許されるものではない
どんな要因があっても、暴力という行為は否定されるべきです。Jリーグとしても、暴力・差別のないスタジアム作りに腐心していますし、日本社会に於いても許されない出来事です。
過去には徳島ヴォルティス戦で馬渡が、ボールパーソンに手を上げて大きな問題になりました。この出来事が起きたのも今回と同じフクダ電子アリーナでのジェフ千葉戦です。
こちらも暴力行為自体は、非難されるべきものですし、実際に罰を受けることになりました。
暴力行為に及ばないものの選手が、フクダ電子アリーナでのジェフ千葉戦で、対戦クラブの選手がボールパーソンに不満を示すシーンは散見されます。
水をかけたというのは伝聞の話で真偽不明ではありますが、許されない行為です。
ボールパーソン経験
ボールパーソンについては、自身の体験を紹介します。10年以上前ですが、ガンバ大阪や京都サンガFCのホームゲームでボールパーソンを務めたことがあります。
現在はどうなっているか?分かりませんが、当時はアルバイトがお金をもらってボールパーソンをしていました。
Jリーグに限らずサッカーの試合では、円滑で安全な試合運営をするために、スタンドや入場ゲート、スタジアム外でも多くの仕事があります。
スタジアム外の雑踏警備では、警備員さんや警察官の方を見ることもあります。
これらの仕事をボランティアの方や仕事として関わる方が担っています。100%ボランティアで運営できるクラブはないのではないでしょうか?
学生時代は、スタジアムでの仕事をアルバイトとして、お金をもらって取り組んでいました。その仕事に一つにボールパーソンがありました。非常に貴重な体験をさせてもらって、感謝しています。
ボールパーソンに限らず、スタジアム運営の一端に関われたことは、社会人になり、お金を払って観戦する側になった時に活きていると思っています。ピッチ上での試合はもちろん、ファン・サポーターの応援といったサッカー観戦の楽しみ方・観方に、「どう運営しているのか?」というポイントも加わりました。
各クラブの取り組みの意図を考える上でも、とてもありがたい機会でした。
ボールパーソンの仕事とは
自分がボールパーソンをした時の仕事としては、 ・選手やスタッフが入るベンチの設営 ・陸上競技設備の移動 ・陸上トラック部分への人工芝設営 ・ゴール設営 といったサッカーの試合ができるようにする仕事がありました。
ガンバ大阪が万博競技場をホームスタジアムとしていた時代ですので、陸上スタジアムをサッカーモードにする仕事がありました。
その仕事の一端が、Jリーグ公式で紹介されています。
これらの設営があるということは、片づけて、陸上モードにする仕事もあります。
サッカー専用スタジアムでは、かなりの仕事が削減されると思いますが、試合中だけがボールパーソンの仕事ではありません。かなりの肉体労働です。
試合の他にも、ピッチ内練習では、シュート練習をするクラブがほとんどですので、シュート練習で飛んでいったボールを拾う仕事もあります。(シュート練習しないクラブは観たことがないですし…)
いつから導入されたか?分かりませんが、Jリーグでは『マルチボールシステム』が採用されています。『マルチボールシステム』とは、複数個のボールを用意し、ピッチからボールが出たら、すぐに用意していたボールをピッチに返すシステムです。
Jリーグで観戦されている方には、当たり前の光景です。
通常ボールは7つ用意されます。ピッチ上に1つ、両ゴール裏に1つ、メインスタンド・バックスタンドに2つずつあります。
ボールパーソンには、ボールを持っていて、ピッチへ返す役割の人とボールを拾う役割の人がいます。ビブスの色が違い、目で見て分かるようになっています。
ピッチのちょっと外にボールが出て、ボールを拾ったボールパーソンが返す場合もあります。誰がボールを返すのか?決定権は、いつもボールを持っている役割の人にあります。
各スタジアム独自のルールを含め、様々なルール・役割があります。そのためボールパーソンに焦点を当てて観るというのも、サッカー観戦の1つの視点だと思っています。
近年は、どこのクラブも地元の中高生(たまに小学生)にボールパーソンを任せていると思います。この場合、ピッチ設営はせず、ピッチ練習や試合中の仕事だけかもしれません。それでもボールパーソンの役割・ルールは、同じです。
実は大事なボールパーソンのルール
多くの役割・ルールがあると書きましたが、少しだけ紹介したいと思います。
お客さんが見える範囲ではキビキビ動く
究極はテニスのボールパーソンだと思います。テニスのボールパーソンは全力ダッシュでボールを拾い、選手にタオルを渡します。
野球のボールパーソンもダッシュでファールボールを拾いに行き、球審にボール渡しに行くのも小走りです。
そこまででなくとも、サッカーのボールパーソンにも同じことが求められています。
自分がボールパーソンをやっていた時は、『お客さんが見える範囲は、ダッシュか小走りで移動する』よう徹底されていました。キビキビ動いた方が、やはり観ていて気持ちいいです。
ボールを足で扱わない
ボールパーソンがサッカー経験者だとしても、アマチュアレベルです。プロのボールとなれば、まったく別物です。また見た目の印象も悪くなります。「お客さんはボールパーソンの足技を観に来た訳ではない」という言葉が、非常に印象に残っています。
この考え方はレフェリーにも浸透しています。日本のレフェリーは、必ず手でボールを動かしています。5mほどボールを転がす場面でも、手を使って転がします。海外の試合を観ると、必ずしも守られていないので、日本独自のルールなのかもしれません。
サッカー観戦の時に、気にしてみると分かると思います。
ピッチ上に2つのボールを入れない
ピッチ上にボールが2つある状況がないようにしています。どちらのボールがライブボールか?分からなくなります。
遠いところでも、ピッチ内にボールがあれば、選手が要求しても渡せないのです。最近守られないシーンも多くなった印象です。ピッチ内にボールがある場合、レフェリーの指示がないと新しいボールを入れないルールになっています。
観客の方はイライラする場面だと思いますが、混乱の要因になる可能性があるため、大事なルールです。
ベンチにボールが入った場合は、ベンチに入らない
選手・スタッフは試合に集中しています。大袈裟かもしれませんが、人生を賭けた戦いをしています。戦意を削がないようにベンチに入ることは禁止されています。
チームスタッフさんが出してくれるので、それを待つというルールになっています。
その他ローカルルールを含め、多くの決まり事があり、ただボールを追って、返しているだけではないことは、知って頂きたいなと思っています。
全ては選手に気持ちよくプレーしてもらい、お客さんに楽しんでもらうためです。
その1つとして、実際にボールが動く時間(アクチュアルプレーイングタイム)を増やす取り組み、『マルチボールシステム』があると思っています。
重要なことは、プロスポーツとしてお客さんに楽しんでもらうことです。
ジェフ千葉のボールパーソンの特殊性
しっかりと記録したことがありませんので、肌感覚の話になってしまいます。Jリーグの多くのクラブは地元の中高生に任せていると思います。
何年も前に、大宮アルディージャのNACK5スタジアムで、小学生がボールパーソンをしていて驚いた記憶があります。
フクダ電子アリーナのジェフ千葉戦では、ジェフ千葉アカデミーの選手が担当しています。各学年、チームのスケジュール次第で、どのチームが担当するか?決まっていると思います。
ただ毎試合ジェフ千葉アカデミーの選手なことは変わりません。海外の事情は分からないのですが、Jリーグでは珍しい人選でしょう。
ホームであるジェフ千葉の身内がボールパーソンを務めるという不信感に近い特殊性があります。
何かトラブルがあった時に、対戦相手クラブのファン・サポーターに、もっと大きく見れば、他のJリーグクラブのファン・サポーターに、疑念を抱かれると感じています。
ボールリターンの時間に少しでも違いがあれば、疑われても仕方ないです。
先程の役割・ルールで紹介した通り、ルールでボールを返せない場合もあります。ピッチの遠くにまだボールがあるとか、誰がボールを返すのか?判断しにくいとか、ボールリターンが遅れる要因は数多くあります。
ジェフ千葉として、そのリスクを承知して、ボールパーソンを選んでいるのか?という疑問があります。
この身内という考え方について、湘南ベルマーレに関する本の引用です。
ユースはプロの興行の予備軍で、トップチームを強化するための選手育成のクラスです。ユースの選手たちは、湘南ベルマーレというJリーグのチームを強くする一員と考えられる。
つまりユース(高校生)年代は、トップチームのつながる湘南ベルマーレの選手と考えています。
1つ下のカテゴリーになるジュニアユース(中学生)世代に関しては、こう書かれています。
地域の子どもたちをお預かりして、サッカーを通じて健全な精神と肉体を育むお手伝いをすることが目的だから、こちらは特定非営利活動として位置づけられるのです。
ジュニアユースとユースの間に、明確な線を引いている印象です。
Jリーグの各クラブが、同じ線引きをしているか?と言われると、異なるでしょう。しかしファン・サポーターは、どの年代であれクラブの一員であるという考え方が一般的だと思います。
仮にジェフ千葉が湘南ベルマーレと同じ線引きをしているなら、ジュニアユースは地域の子どもたちなので、身内ではないことになり、ユースはトップチーム予備軍である身内であることになります。
またはユースの選手を含めて、トップチームとは別なので、身内とは考えていないのかもしれません。それならそれで、ファン・サポーターとして悲しい考え方だと思いますが…
アビスパ福岡戦のボールパーソンは異常だった
今回のアビスパ福岡戦は、ユースの選手がボールパーソンを務めていました。先程の湘南ベルマーレの事例で言えば、完全に身内だったと言えます。
そしてボールパーソンとしての質は著しく低かったと言わざるを得ません。
セランテスがフラストレーションを貯めたであろうゴールキック時は、選手に気持ちよくプレーしてもらおうという考えを微塵も感じませんでした。
過去に複数の試合でも感じることです。ゴールキックをゆっくりやるのか?早くやるのか?の決定権は選手が持っています。ボールパーソンの役割は、早くボールを渡し、どちらでもできるようにすることでしょう。
アクチュアルプレーイングタイムを増やすというJリーグの狙いを体現するなら、早くボールを渡し、早くプレーしてもらうことが大切です。
またジェフ千葉のボールパーソンは椅子に座って試合を観ています。座った方が体が小さく見え、お客さんの観戦の邪魔にならない狙いだと思っています。
座っていいからと言っても、腕組みをしていたり、ジャージのポケットに手を入れたりして観て良いとは思いません。お客さんにどう見えるか?考えれば、答えは分かるのではないでしょうか?
試合前、ハーフタイムに談笑しながら、ボールで遊んでいるのも同じことです。走ってボールを取りに行かないのも同じことです。
何より試合前のピッチ内練習で帽子で顔を隠し、寝ていたように見えました。こちらはスタンド最上段から見ているので、そう見えただけかもしれません。
本当に寝ていたとしたら、どう考えても異常です。無給かもしれませんが、常識外れと言われても仕方ないと思います。
ボールパーソンの仕事の全ては、選手に気持ちよくプレーしてもらい、お客さんに楽しんでもらうためです。その意味では、自分の観戦史上最低のボールパーソンでした。
サッカー先進国を模倣すればいいものではありません
ホームクラブの身内がボールパーソンを担当し、ホームクラブに手心を加えるという行為について、サッカー先進国はそうだから良い行為だという意見もあります。
ボールを返すという行為が、ホームクラブのチャンスを作り、ピンチを防ぐ一助となる場合があるからです。
この考え方については、賛否両論あると思います。賛成派の意見も理解できなくはないです。ただ個人的には反対です。
スタジアムに来るお客さんの多くは、ホームクラブのファン・サポーターです。ホームクラブの勝利のために応援しています。それは厳然たる事実です。
しかしアウェーからもファン・サポーターが来ていることを忘れている気がします。更にはDAZNで観ている他のクラブのファン・サポーターがいることを考えているでしょうか?
Jリーグの試合ならどこでも流れているフェアプレーを目指す動画は何のためにあるのか?今一度考える必要があると思います。
サッカー先進国で起きていることを全て肯定するというのは間違いだと思っています。個人的には勝つことだけがプロスポーツの役割だとは思っていません。
選手・スタッフやファン・サポーターは、試合に勝つことを目指すことは大事です。しかし試合を運営する側の人は、公平であるべきです。
まとめ
この記事を書いている時点では、何の公式発表はありません。自分は行為自体を観ていません。SNS上の情報のみで書いているので、正確性に欠けることは分かっています。
仮に事実であるとすれば、選手は非難されるべきです。
しかしボールパーソンの仕事を理解し、Jリーグの理念を考えれば、試合を運営しているジェフ千葉も反省すべきことが多いと思います。
意図しなかったことであってもトラブルのリスクを減らすことはできるのではないでしょうか?
yas-miki
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