Jリーグ全クラブのシーズンシート(2023年シーズン)を比較した記事の続きです。
前回は、「調査方法」と「シーズンシートの呼び方」をテーマにしましたので、そちらも読んでください。
Jリーグ全体では『シーズンパス』と呼ぶことがが多いようですが、自分には馴染みがありません。
そのため、この記事では『シーズンシート』を使います。
今回は、『シーズンシートの金額・割引率』がテーマです。
個人的には、一番知りたいお金の話です。
Contents
調査方法の概要
細かい調査方法は、前記事を読んでください。
2023年1月9日時点でシーズンシートを売ってなかった8クラブを除いた、52クラブの情報をまとめました。
ざっくりとしたルールです。
- 対象のクラブは、 2023年シーズンに Jリーグ所属の60クラブ(のうちデータのあった52クラブ)
- 各クラブの公式サイトにアクセスして、シーズンシートの情報を調査
- 調査した席種は、「メインスタンド下段」、「バックスタンド上段」、「ホームゴール裏下段」
- シーズンシートとの比較は、「一般前売りチケット」
全ての情報を拾えているとは思えないので、参考程度に読んで頂けると助かります。
シーズンシートとの比較は、「一般前売りチケット」
各クラブの公式サイトでシーズンシートを調査すると、価格表が出てきます。
大体は、「席種」と「シーズンシートの金額」、「通常チケットを買った場合との差額」が記載されていました。
「通常にチケットを買った場合との差額」は、「シーズンシートを購入した方がお得ですよ」の根拠です。
しかし、この根拠は、「ファンクラブ価格 or 一般価格」、「前売り or 当日」で異なります。
「一般価格」かつ「当日」の価格であれば、シーズンシートとの差額が大きくなる仕組みです。
今回の調査では、価格表のデータを100%信用せず、「一般」・「前売り」の金額に揃えました。
隠れた費用: ファンクラブ、事務手数料
各クラブのシーズンシート価格表を見ると、チケット代以外の費用があることに気づきました。
ファンクラブ入会が、シーズンシート購入の条件になっているのです。
これまで、FC東京の『年間チケット』とジェフ千葉の『シーズンシート』しか買ったことがないので、その条件があることを知りませんでした。
今回調査のスタートは、「全くゼロの状態である自分が購入したら、いくらかかるか?」を知りたいと思ったことです。
そのため、ファンクラブ入会費用もシーズンシートにかかる(隠れた)費用としてカウントしました。
ファンクラブ入会が必要なクラブは、18クラブ(52クラブ中18クラブ=約35%)ありました。
昔から、この傾向なのか?分かりませんが、「多いな!」と思いました。
最高金額はベガルタ仙台の6,000円、最低金額はセレッソ大阪の1,500円です。
名古屋グランパスの公式サイトには、「シーズンシートは10%割引」という旨が記載されています。
しかし、ファンクラブ入会の2,500円が含まれていないため、自分のようにファンクラブ入会から始めた場合は、必ずしも10%割引とはなりません。
また、「シーズンシート購入の際に、事務手数料必要である」と明記されていたクラブは、事務手数料もカウントしました。
シーズンシートのトータル金額比較
「シーズンシート価格表の金額」に、必要であれば「ファンクラブ入会の金額」と「事務手数料」を加算した金額を、「シーズンシートのトータル金額」としています。
メインスタンド下段
まずはメインスタンド下段の席種で比較します。
メインスタンド(=スタジアム)で最も高いチケットとは異なる場合もあります。
鹿島アントラーズはメインスタンド下段にシーズンシートがなかったので、「―(データなし)」です。
最高金額は、アピスパ福岡『アビスパシート』の163,850円でした。
セレッソ大阪『エキサイティングシート』の161,500円、ヴィッセル神戸『ヴィッセルシート』の150,000円と続きます。
データのある51クラブの平均は、74,881円でした。
「やっぱりメインスタンドのチケットって高いな…」が正直な感想でした。
メインスタンド中央に位置する席種ですので、最も高い席種となることが多いです。
豪華な特典を付いていて、シーズンシートの金額は上がっている傾向に感じました。
大きな席種の括りだと、指定席が46クラブ、自由席が5クラブでした。
カテゴリーで分類して、プロットしました。
例外はありますが、リーグ全体で見ると、上位カテゴリーの方がトータル金額も上がる傾向にあります(R^2=0.45)。
バックスタンド上段
次にバックスタンド上段の席種で比較します。
スタジアムのバックスタンド最上段に座ろうとした場合の席種ですので、より高い席種がある場合もあります。
バックスタンドを開放していない等の理由でシーズンシートの販売がない場合は、「―(データなし)」です。
最高金額は、清水エスパルス『SS指定席』の116,000円でした。
メインスタンドと同じ席種(同じ金額)ですので、トータル金額が高くなるのは納得できます。
アビスパ福岡『センターシート』の91,850円、ベガルタ仙台『S指定席バック』の80,300円と続きます。
データのある47クラブの平均は、46,221円でした。
毎年更新しているのがジェフ千葉『Sバック指定席』48,000円なので、「まぁ、そんなもんか、妥当だな」と感じました。
大きな席種の括りだと、指定席が27クラブ、自由席が20クラブでした。
カテゴリーで分類して、プロットしてみました。
リーグ全体で見ると、メインスタンド下段のシーズンシートと同様に、上位カテゴリーの方がトータル金額も上がる傾向にあります。
しかし、R^2=0.26ですので、メインスタンド下段ほど強い傾向ではないようです。
ホームゴール裏下段
最後にホームゴール裏下段の席種で比較します。
ホームゴール裏スタンドを開放していないため、シーズンシートの販売がない場合は、「―(データなし)」です。
最高金額は、アビスパ福岡『N1自由』の53,850円でした。
清水エスパルス『1F指定席』の91,850円、ベガルタ仙台『ゴール裏北・ホーム』の51,100円と続きます。
アビスパ福岡、清水エスパルス、ベガルタ仙台の顔ぶれは、バックスタンドと同じでした。
データのある50クラブの平均は、31,931円でした。
ゴール裏で熱く観たいという観戦スタイルを持っている人が多いと思っているのですが、「なんとなく高いかな?」という印象でした。
大きな席種の括りだと、指定席が6クラブ、自由席が44クラブでした。
カテゴリーで分類して、プロットしてみました。
リーグ全体で見ると、メインスタンド下段のシーズンシートと同様に、上位カテゴリーの方がトータル金額も上がる傾向にあります。
R^2=0.43ですので、メインスタンド下段と同じくらいの傾向です。
シーズンシートの1試合当たり金額比較
これまで紹介したトータル金額だと、カテゴリーやクラブによって対象試合数が異なります。
多いパターンは、J1は20試合(リーグ戦17試合+ルヴァンカップ3試合)、J2はリーグ戦21試合、J3はリーグ戦19試合です。
それ以外のパターンは、名古屋グランパスとヴィッセル神戸17試合、浦和レッズ16試合、横浜Fマリノス14試合です。
サガン鳥栖は公式サイトから対象試合数が分らなかったので、集計から外しました。
先程紹介したトータル金額を、対象試合数で割った比較です。
メインスタンド下段
まずはメインスタンド下段の席種で比較します。
最高金額は、ヴィッセル神戸『ヴィッセルシート』の8,824円でした。
アビスパ福岡『アビスパシート』の8,193円、セレッソ大阪『エキサイティングシート』の8,075円と続きます。
トータル金額で比較した場合と、顔ぶれは同じですが、順位が変わりました。
データのある50クラブの平均は、3,785円でした。
最高金額と最低金額の差は、7,402円でした。
順位の列は「1試合当たり金額の順位」、トータル金額の列は「トータル金額の順位」です。
大きく順位が変わったのは横浜Fマリノスで、「トータル金額の順位」では26位ですが、「1試合当たり金額の順位」は9位です。
バックスタンド上段
次にバックスタンド上段の席種で比較します。
最高金額は、清水エスパルス『SS指定席』の5,524円でした。
アビスパ福岡『センターシート』の4,593円、ベガルタ仙台『S指定席バック』の3,824円と続きます。
トータル金額で比較した場合と、顔ぶれも順位も同じでした。
データのある46クラブの平均は、2,305円でした。
最高金額と最低金額の差は、4,682円でした。
順位の列は「1試合当たり金額の順位」、トータル金額の列は「トータル金額の順位」です。
大きく順位が変わったのは横浜Fマリノスで、「トータル金額の順位」では23位ですが、「1試合当たり金額の順位」は9位です。
また浦和レッズも、「トータル金額の順位」32位ですが、「1試合当たり金額の順位」21位になりました。
ホームゴール裏下段
最後にホームゴール裏下段の席種で比較します。
最高金額は、アビスパ福岡『N1自由』の2,693円でした。
名古屋グランパス『ゴール裏指定席』の2,483円、清水エスパルス『1F指定席』の2,476円と続きます。
1試合当たり金額で比較すると、名古屋グランパスが上位3クラブに入りました。
データのある49クラブの平均は、1,594円でした。
最高金額と最低金額の差は、1,850円でした。
順位の列は「1試合当たり金額の順位」、トータル金額の列は「トータル金額の順位」です。
大きく順位が変わったクラブが増えました。
変動幅が最も大きいのは横浜Fマリノスで、「トータル金額の順位」では28位ですが、「1試合当たり金額の順位」は10位です。
浦和レッズ27位⇒18位、ヴィッセル神戸15位⇒7位、名古屋グランパス9位⇒2位、SC相模原35位⇒29位と、他の席種よりも変動が大きくなりました。
最高金額と最低金額の差が小さいことが理由なのかもしれません。
シーズンシートの割引率比較
この記事を書こうと思った本題です。
シーズンシートはどのくらい割り引いて販売されているのでしょうか?
ここでは、「シーズンシートのトータル金額」と「(一般価格前売りチケット)×(対象試合数)」を比較します。
一般前売り金額が分からなかったクラブは、集計から外しました。
ダイナミックプライシングを導入しているクラブだと、割引率が過少に出る可能性があることは、ご注意ください。
メインスタンド下段
まずはメインスタンド下段の席種で比較します。
最も割引率が高かったのは、ギラヴァンツ北九州『G指定席』の47%でした。
ほぼ半額はスゴイの一言です。
しかもファンクラブに関わる費用も含めて割引率47%ですので、その費用を除くと52%と半額以下となります。
サンフレッチェ広島『メインSS指定席』の41%、愛媛FC『S指定席』の39%と続きます。
データのある44クラブの平均は、26%でした。
30%以上割り引いたクラブが、17クラブありました。
メインスタンド下段は、最も金額が高く、特典が付いている席種であることが多いです。
そのため、「大きく割り引くものでもないよな」という印象も持ちました。
バックスタンド上段
次にバックスタンド上段の席種で比較します。
最も割引率が高かったのは、ギラヴァンツ北九州『Bホーム自由席』の44%でした。
メインスタンド下段の席種でも高い割引率(47%)でしたが、この席種でもほぼ半額と言えるのではないでしょうか?
FC琉球『バック AS 自由』の43%、愛媛FC『B自由席』の42%と続きます。
データのある43クラブの平均は、28%でした。
30%以上割り引いたクラブが、22クラブありました。
ホームゴール裏下段
最後にホームゴール裏下段の席種で比較します。
最も割引率が高かったのは、鹿島アントラーズ『サポーターズシート』の45%でした。
鹿島アントラーズは、バックスタンド上段にある『イーストゾーン』の割合率が35%ですので、ゴール裏とバックスタンドの割合率が10%も異なることになります。
過去にDAZN年間視聴パスの特典で、Jリーグ全クラブの比較をした際に、「鹿島アントラーズが一番ファンに優しい」と結論づけたことを思い出しました。
ギラヴァンツ北九州『Bホーム自由席』の44%、ジェフ千葉『ホーム自由席』の44%と続きます。
データのある47クラブの平均は、29%でした。
30%以上割り引いたクラブが、23クラブありました。
シーズンシートのデータを調べて思ったこと
シーズンシートには、「チケット代が安くなる」以外にも「先行入場ができる」や「グッズがもらえる」といったメリットもあります。
それでも、チケット代が30%弱も割引となるのは大きな魅力であると感じました。
また、個人的に面白いと感じたのが、コンサドーレ札幌です。
割引率が、メインスタンド『カテゴリー1』14%、バックスタンド『カテゴリー3』12%、ホームゴール裏『カテゴリー5』5%と徐々に下がっています。
他のクラブを見ると、横ばい、または徐々に上がる傾向が強いと感じたので、珍しく映りました。
一律でかかるファンクラブ費用3,500円の影響もありますが、元々の値段設定も下がる傾向でした。
まとめ
ジェフ千葉のシーズンシートを更新した時に思った疑問、「他クラブのシーズンシートってどんな感じ?」からスタートした全クラブ比較です。
「カテゴリーに応じてシーズンシートの値段に傾向がある」、「一般前売りでチケットを買うよりお得に買える」といった何となくのイメージがデータで分かって勉強になりました。
またファンクラブに入会しないとシーズンシートが買えない、というシステムは知らなかったので驚きました。
yas-miki(@yas-miki)