
子どもの頃からサッカー関連の本を読んできました。
何冊読んだか?分からないですが、相当数になると思います。
そこで知識の棚卸しで、読んで知識が増えた本やシンプルに面白かった本を紹介します。
サッカー関連の本を、自分がよく読む『サッカー観戦術』、『サッカーの戦術』、『選手や監督といった個人』、『クラブ・リーグ』、『育成』とフォーカスを当てる対象別に分類し、それぞれのカテゴリーで3冊ずつ紹介します。
入手できるか?を少し考慮して、できるだけ新しい本を選びましたが、『これは名著!』という本は残しました。
サッカー関連の本を探している方の参考になれば幸いです。
Contents
サッカー観戦術に関する本
この記事を書いている2021年は、戦術に関する本は増えてきています。
また戦術に関する新たなワードも、次から次へと誕生しています。
サッカーの試合に於いて、戦術の重要性が年々増しているのかもしれません。
実際、中村俊輔選手の著書にも、
もっとも、ピッチ上がより組織化された昨今は、戦術を理解・浸透して表現できなければチームとして勝ち続けて上のステージに辿り着くのは難しい。
と書かれています。
それに伴い、サッカーファンの眼が肥えてきた証だと思います。
個人的には、それぞれ個別に流行りの戦術を紹介・解説する本よりも、自分自身で試合の流れ・構造を理解できるように指南してくれる本をオススメします。
サッカーの観戦術を知っておくことは、試合を観る際に新たな一面を手に入れることです。
自分なりの戦術分析ができた方が、試合を観る楽しみが倍増します。
サッカースカウティングレポート 超一流の分析
サッカーの戦術に繋がる『スカウティング』に特化した本で、著者がアトランタ五輪、フランスW杯で代表に入って戦った実例が、とても貴重です。
プロはどこを観ているのか?とても勉強になります。
初心者の方には試合を大枠で捉える方法が、専門家には勝つためのスカウティング術が面白く読めると思います。
『観る眼』を養うために、スタジアムで多くの試合を観るモチベーションになります。
アナリシス・アイ サッカーの面白い戦術分析の方法、教えます
本書も、単なるサッカーの戦術を紹介する本ではありません。
戦術を理解するための『試合の流れを掴むこと』にフォーカスを当てた本です。
新書で分かりやすい言葉で書かれているので、初心者にオススメです。
具体的に『どの時間帯に?』『何を観るのか?』を書いていて、読んだ日から戦術家になれる本です。自分なりのゲーム分析に繋がります。
ドイツ式GK技術革新 GK大国に学ぶ「技術」と「理論」
GKはサッカーに於いて重要なポジションですが、多くのプレーヤーはGKの競技経験がありません。
自分も含め、何となくのイメージや相場感でしかGKを理解していない方が多いと思います。
どんな原則があり、何を考えてプレーしているか?を学べる本です。
GKに求められることのトレンドや技術を知っておくことは、サッカーの知識を深める上で、とても重要だと感じました。
またGKについての知識を深め、GKのステータスを上げるのは、大人のサッカーファンへの課題のように感じます。
サッカーの戦術に関する本
先程は、試合全体を観て、試合の構造や流れを掴む観戦術の本をオススメしました。
それとは相反するかもしれませんが、自分なりのサッカー観を築くにあたって、多くの事例を収集することも必要だとも思います。
そのため、個別の戦術に特化した本を紹介します。
個人的な趣味で、概念的なテーマの本を選んでみました。
ポジショナルフットボール実践論 すべては「相手を困らせる立ち位置」と取ることから始まる
ポジショナルプレーとは何ぞや?を解説した本ではありません。
ポジショナルプレーと呼ばれたベガルタ仙台で監督を務めた著者が、システムありきではなく、何を考えてそのサッカースタイルにたどり着いたのか?を詳細に紹介しています。
著者がたどり着いたシステムの弱点と対戦相手が施した対策、なぜ上手く行かなくなったのか?を説明しているのは先進的に感じました。
もちろん細かい戦術面を楽しむ本ですが、一方で監督のチームマネジメントを学ぶ本でもあります。
ここ数年のJリーグで起きていることを分かりやすく整理できます。
サッカーの守備戦術の教科書 超ゾーンディフェンス論
日本サッカーにとって耳の痛い話であろう守備戦術に特化した本です。
この本を読んで、サッカーは時間とスペースを支配するスポーツだと考えると、スペースを支配する方法がゾーンディフェンスと理解しました。
スペースの支配という概念は、ポジショナルプレーと同意だと感じ、サッカーのベーシックな部分を整理できました。
『ボールの位置、次に味方の位置を見ながらそれぞれの守備のポジションが決まる』という言葉がスッと理解でき、ゾーンディフェンスでありながら、結局は『個人の能力に依存する』という言葉も納得感があります。
とても勉強になる本です。
元ACミラン専門コーチのセットプレー最先端理論
サッカーの試合を『流れ』と『セットプレー』に分類した時に、『もう1つの試合』としてセットプレーに特化した本です。
コーナーキックやフリーキックなどのセットプレーについての解説は、専門書である本書ならではの視点です。
コーナーキックの攻撃側をフォーメーションで表記する方法は、眼から鱗でした。
『集中力』だけでセットプレーを語ることは無くなるでしょう。
漠然と観ていたセットプレーを、一段上のステージで観られるようになります。
間違いなくサッカー観が広がります。
選手や監督の個人にフォーカスした本
選手、監督には、それぞれのストーリーがあります。
彼らの半生や考え方を知識は、サッカー界の歴史や知見と同じですし、その選手、監督に愛着を感じ、応援するきっかけにもなります。
また世界情勢がサッカーに与えた影響についても知ることができます。
誇り ドラガン・ストイコビッチの軌跡
自分の人生に最も影響を与えた選手が、『ピクシー』ストイコビッチです。
彼のサッカー人生は、政治的な問題に翻弄され続けます。
ユーゴスラビアの内戦やそれに伴う制裁について、私は西側諸国のメディア情報しか知りません。
本書で『セルビア人には、内戦やそれにまつわる政治的動向がどう映っているのか?』を知ることができました。
そして遠く離れた地で起きた悲劇の引き金は、日本にもあるように感じました。
大好きな選手の半生を通して、『平和とは何か?』、『民族とは何か?』について考えさせられます。
徹する力 ”らしく”生きるための考え方
日本代表として世界と戦い、Jリーグで長く素晴らしいキャリアを歩んできた著者、明神智和さんは、自分の好きな選手です。
練習や試合へ取り組む向上心やチームの中で自身の役割を理解し、周りを動かす気遣いのできるリーダーシップは、『プロフェッショナル』の一言です。
『小さな成功体験を積み重ねる向上する』や『負の感情は必ずプラスのエネルギーに変える』マインドの重要性は、著者のキャリアが証明しています。
サッカーについて書かれた本ですが、会社員として働く自分にも採り入れたい思考です。
ヨハン・クライフ 「美しく勝利せよ」
サッカー史を語る上で外すことはできないスーパースターです。
本書のタイトルに繋がる『美しく勝利する』考え方は、多くのサッカー人の脳裏に刷り込まれていると思います。
本書は彼の生き方とサッカーに対する考え方を紹介しています。
自分は、この本を通して、クライフさんにサッカーを教えてもらった気がしました。
現代サッカーの礎を理解できます。
クラブ・リーグに関する本
選手や監督の人生にストーリーがあるのと同じく、各クラブやリーグにもストーリーがあります。
またサッカーのリーグやクラブの経営や集客といったビジネス面は、一般企業でも使える知識です。
ピッチ上の90分の外にも、サッカーの魅力に気づける分野の本です。
サッカーのある街歩きが楽しくなります。
平畠啓史Jリーグ54クラブ巡礼
ピッチ外のサッカー観戦について書かれた異端の本です。
本書の最初の言葉である
90分間だけがサッカーだなんてもったいない
は自分がスタジアムで感じていたことを代弁する名セリフです。
ホームタウンやスタジアムグルメなど、ピッチ上の90分以外のことにフォーカスしていますので、個人的にサッカー観戦計画を立てる時のバイブルになっています。
Jリーグの各クラブを平等に紹介するガイドブック的な位置づけです。
また各クラブにまつわる著者の回顧録も必読です。
Jリーグや日本の各地方が持つ温かさを感じ、Jリーグがあって良かったと思えます。
『今週はどこのスタジアムに行こうか?』と考えたくなる一冊です。
僕がバナナを売って算数ドリルをつくるワケ スポーツでこの国を変えるために
サッカークラブのプロモーションに於いて、右に出る本はないくらいの名著です。
『ピッチ上の試合結果』という極めて不確実性の高いものだけに、お客さんの満足度を預けることなく、ファンを増やす取り組みは、読んでいて痛快です。
実例が多く、そのイベント・プロモーションの奥深くには、どんな考えや狙いがあったのか?を知ることができます。
本書中
サッカーだけをやるためにフロンターレは川崎に存在しているわけではない
という文には感銘を受けました。
サッカー観戦にプロモーションという、全く新しい視点を与えてくれます。
低予算でもなぜ強い? 湘南ベルマーレと日本サッカーの現在地
2010年代の前半に、Jリーグに浸透した『湘南スタイル』というワードがあります。
本書の舞台、湘南ベルマーレは責任会社を持たないクラブで予算規模も大きくありませんが、結果を残してきたと言えます。
その秘密を、『社長』や『監督』といった様々な切り口から紹介しています。
フロントだけ採りあげた本や現場だけを採りあげた本は多いですが、両方を採りあげた本は珍しいのではないかと思います。
この本とスタジアムでの体験を併せると、『全てはベルマーレに仕掛けられた罠だった』ことに気づかされます。
育成に関する本
どこの国、地域でもサッカー文化は、草の根レベルのサッカーだと思います。
特に育成年代は、注目度が高く、たくさんの本が出版されています。
自分は、具体的なTIPSや練習メニューより、育成に対する考え方を書かれた本を好んで読んでいます。
興國高校式Jリーガー育成メソッド
全国大会で勝つよりも、プロになる、プロで活躍できる選手を育成することに特化した興國高校の内野先生の本です。
プロや大学といった上のカテゴリーを意識し、高体連のチームからどんな選手がプロや大学から声がかかるのか?海外で活躍できるのか?の分析が素晴らしいです。
海外でプレーする時は日本人は助っ人という考え方は、あまり意識していなかった視点で最も印象に残りました。
差別化戦略や育成のビジネス化といったビジョンも示唆に富んでいて、貴重な話だと感じました。
サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法
幼稚園や小学生年代の指導者・親に向けて書かれた名著です。
具体的な練習メニューではなく、子どもにどう接するか?という心構えが書かれています。
子ども扱いせずに、じっくり考させる、判断させる時間的・精神的余裕を、大人が持たなくてはいけないという主張は、改めて重要だと感じました。
指導者や親といった子どもに関わる大人が変わることができれば、日本サッカーも大きく成長できると感じました。
また子どもの指導には、年齢の高い方々が当たった方が良いという考え方は、他の本でも主張されていて、真理に近いのかもしれません。
育成年代 高体連vsJクラブユース 日本サッカーの将来を担うのはどっちだ!?
日本サッカーに於いて、高体連vsJリーグユースという構図は、色々な所で目にすると思います。
テクニックのJリーグユース、メンタルの高体連というイメージで語られます。
実際に育成の現場にいる方へのインタビューを通して、なぜそのイメージになるのか?についての考察が面白いです。
個人的には、高体連の競争意識を植え付ける取り組みやジュニア世代で進路の方向が決まってしまうことが、印象に残りました。
プロになった選手しか観ないので、育成年代でどんな取り組みがあって、何が起きているのか?を知ることは、サッカーファンとして大事だと感じました。
最後に
まだまだ自分のサッカー観を築いた本は、たくさんありますが、今回は強引に分野を決めて、3冊ずつ(厳選して?)紹介しました。
より具体的な戦術論やレフェリング、サッカーのスキルといった分野について書かれた本もたくさんあります。
どれか1冊でも興味を持ってもらうきっかけになれば幸いです。
yas-miki(@yas-miki)