サッカー関連本

【読書】元ACミラン専門コーチのセットプレー最先端理論


2年前くらいに本屋で見かけた本の帯に書いてあった
セットプレー=年間15得点のストライカー
というコピーに魅かれ買いました。

サッカーファンですので、セットプレーが大事だということは分かっています。
しかしセットプレーの戦術や方法論の知識がありません。普段の観戦でもセットプレーで観ていることは、守備側がマンツーマンか?ゾーンか?ということで、後はエリア内の駆け引きのみです。

この本を読むと、潜在的に思っていたセットプレーの知識が体系化されました。 

次のサッカー観戦のセットプレーでは、システム表記に倣って、プレーヤーの数を数えることから始めたくなります。

セットプレーとは

本の中で、セットプレーの定義はありません。

サッカーでは、ボールがピッチを出るか、反則が起きないとプレーが止まりません。プレーが止まった後に、リスタートするプレーがセットプレーだと思います。

コーナーキック(CK)やフリーキック(FK)、ペナルティーキック(PK)、ゴールキック、スローイン、キックオフ等が、セットプレーに当たります。本書ではゴールキーパー(GK)からの(オンプレー中の)リスタートも、セットプレーの1つと考えているのは新鮮でした。

得点・失点の可能性が高くなるゴール前FKやCKは、流れの中とは違う世界です。

セットプレーは、試合の中のもう一つの試合。そこではゲームのルールも、選手のポジションや役割も、そしてシステムや配置もまったく別のものに変わる。

手元にあるバスケットボールの本の言葉を紹介します。

オフェンスの体制を整えて行うオフェンス戦術「セットオフェンス」

ボールマンがすべてではない

体制を整えるプレー=セットプレーという理解なのかな?と思っています。その意味では、野球やアメフトはセットプレーの連続だと思います。

セットプレーの知識が素晴らしく体系化されています

著者の2人によって、セットプレーが体系化されています。

何となく分かっていた、思っていたことへの答えが書いてあるように感じました。新しい知識はもちもんですが、「あ~そういうことか~」と納得することが多かったです。

著者の1人ジョバンニ・ビオさんは、銀行に勤めるアマチュアコーチだった時に、『得点力+30%』という本を書いたそうです。イタリアサッカーのレジェンドであるワルテル・ゼンガさんの目に、その本が止まり、プロサッカーへの道が拓かれたそうです。

本を書くためには、知識を体系化する必要があります。一度本を書いていることが、本書の分かりやすさの要因だと思います。また世界初のセットプレー専門コーチですので、知識を伝えることに長けていることも、本の内容を分かりやすくしています。

もう1人の著者である片野道郎さんが、サッカー雑誌の連載のためにテーマを決めていたそうです。連載ですので、一つ一つの章が分かりやすいです。もちろんセットプレーをあらゆる角度から斬り込む片野さんのサッカー眼が卓越しています。

少しずつセットプレー理論を噛み砕きながら、一冊読むと全体が分かる構成になっています。

サッカーの知識が必要です

『footballista』という海外サッカー専門誌の連載を書籍化した本でした。

サッカー雑誌ですので、コアな人が読む内容が多いです。本なので、動画がなく、文字を追いながらセットプレーのシーンを想像する必要があります。

サッカー経験者や趣味がサッカー観戦の方といった、ある程度サッカーに関する知識がないと、内容が想像しにくいように感じました。

セットプレーの時に、キッカーが蹴るボールを周辺視野で捉え、ボールが飛ぶ先(主にゴール前)を主に観ることが必要になります。

自分はコレができるようになるのに時間がかかりました…

必須ではありませんが、ボールのないゴール前を観られる人でないと、理解しにくいです。

斬新なシステム表記

サッカーの戦術を語る上で、『1-4-4-2』や『1-4-3-3』といった数を使ったシステム論が多く使われます。テレビ中継でも扱われることが多いですので、市民権を得て来た印象です。

説明の必要がないかもしれませんが、(ディフェンスラインの人数)-(ミッドフィルダーの人数)-(フォワードの人数)を表しています。私はGKも数えて『1-』から始めます。

これと同じように『1-5-4』や『2-5-3』というシステム表記が紹介されています。

サッカーファンであっても、セットプレーで数字を使ったシステム表記は知らないのではないでしょうか?

(ボール周辺の人数)-(ペナルティーエリア内の人数)-(後方の人数)を数字で表しています。

初めて見る表記に慣れませんでしたが、流れの中のシステム論と同様に、スタート位置を整理すると、詳しくなれそうです。

実際の試合で確認しながら理解を深めたいと思いました。

コーチであるが故の悟りがあります

セットプレーに関する本ですので、プレーを設計するという机上の話が多いです。しかしジョバンニ・ビオさんのコーチ経験が、机上の話をピッチに落とし込んでくれます。

競り勝って違いを作り出すのはやはり個人の力
結局はボスである監督のスタンス次第

こんな言葉で、戦術を作るコーチの限界を教えてくれます。

この悟りが本書にリアリティと説得力を与えているように感じました。

『言うは易く行うは難し』という言葉が、セットプレー界?にも存在することを教えてくれます。

特に準備時間(=練習時間)を確保するのが難しいようです。

セットプレーを進化されられるフィールドは、下位カテゴリー?

セットプレーの重要性は、様々なデータで紹介され、サッカーファンの常識とも言えます。特にワールドカップ等のトーナメントで強調されるように感じています。

しかし、重要であるセットプレーを進化させるチームは、多くないようです。
では進化させる可能性があるのは?という問いがあります。

個人的には、トーナメントが多く、練習時間が確保しやすい学生サッカーが第一候補だと思います。数年前の高校選手権決勝で、東福岡高校が見せたトリックプレーは、サッカーファンの脳裏に焼き付きました。立正大淞南高校もセットプレーに変化をつけるチームとして定着しているでしょう。

セットプレーの連続とも言えるアメフトでは、新しい戦術はカレッジ(大学)フットボールから始まる傾向が強いです。同じように、新たなセットプレーの動きも学生サッカーから生まれるかもしれません。このことは本書でも触れられています。

もう一つ学生サッカーを推す理由があります。それは他スポーツの知識を取り込みやすいことです。本書でもバスケットボールの考えを導入しているパートがあります。

戦術的プロセスを設計する際のキーワードは、「スペース」と「タイミング」だ。

という言葉が紹介されています。

「スペース」と「タイミング」を扱う球技は、他にもあるかもしれません。バスケットボールの他に、ハンドボールやアイスホッケー、アメフトには大きな可能性があると思います。

多くの競技が混在する学生スポーツであれば、他スポーツとの連携が取りやすいでしょう。

またJリーグでも、J2、J3であれば、週1試合が多いので、練習時間が比較的確保しやすいと思います。

戦力が拮抗しているリーグですので、セットプレーで先んずれば、『昇格』という大きな成果が得られるでしょう。松本山雅はセットが得意な印象がありますし、もっと特化したクラブが出てくると、日本サッカー界も変わるという印象です。

ロシアワールドカップでは、セットプレーからの超高速カウンターに沈みました。日本サッカーがセットプレーを磨けば、ワールドカップのアディッショナルタイムにサヨナラゴールを奪って、勝つ日が来るかもしれません。

yas-miki


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