2020年シーズンに向けて、各クラブが動き出しました。
個人的には、2020年シーズンもジェフ千葉のシーズンシートを更新しました。
新監督、新戦力の情報が出揃い、キャンプに入っています。
そこで過去のシーズンはどう戦ったのか?が気になりました。
たくさんのデータを追うのは、能力的にパンクしてしまいます。
そこで新監督就任のレポートに注目して、過去の流れを頭に入れたいと思います。
自分がフクダ電子アリーナに定期的に行くようになった2012年シーズンからレポートを読んでみました。
それぞれのレポートは、形式や長さ(文字数)に違いがありました。
結果を知っている状態で、就任のレポートを読むので、結果論・後出しじゃんけんになっていまいます。
その点はご容赦ください。
順位だけ見ると、リーグ内の立ち位置が変わっていることは分かっていました。
そしてレポートを読むことで、急速にレベルが上がるJ2リーグの中で、他のクラブの成長に追いついていないと感じました。
7年シーズンシートを持っていて、J2のレベルが上がっていることは、分かっているつもりでした。
その中で、当時湘南ベルマーレ監督だった曺監督の言葉が、強烈に頭に残っています。
曺監督が語っているJ2リーグの成長は、2014年と2017年ではレベルが上がっていたというものです。
この言葉で現わされるJ2リーグの中で、ジェフ千葉がどんな立ち位置だったのか?が現れたレポートでした。
レポートをまとめていると、ボリュームが多くなってしまいました。
2回に分けて紹介したいと思います。
前編として、2012年の木山監督から2016年の長谷部監督代行までのレポートを紹介します。
曺監督が語っていたJ2リーグの成長時期と重なります。
後編は、2017年のエスナイデル監督から、2020年の尹監督までのレポートを紹介しています。
Contents
レポートのポイント
レポートの形式や長さ(文字数)が異なるので、正確な比較はできませんでした。
そこで4つのポイントに注目して、そのポイントに関わるクラブの意図を探しました。
1.現状の課題
基本的に直近の成績が良くないことが、監督交代の原因だと思います。
大量に選手を入れ替えることはハードルが高いため、指導する側である監督を変えて、クラブを上向かせる狙いです。(過去のオフシーズンで大量の選手入れ替えをしましたが…)
ではクラブの課題をどこに置いているのか?は、非常に大事だと感じました。
はっきり『課題』や『改善点』と書いているレポートがあります。
その一方で、『あるべき姿』へ言及する裏返しとして課題が読み取れるレポートもあります。
それぞれのレポートを、『サッカースタイル』、『メンタリティー』、『クラブ組織』の3つの面から課題を整理したいと思います。
2016年長谷部監督代行就任時のレポートで、『サッカーのスタイル』と『メンタリティー』という言葉が使われています。
各レポートを読んでいると、『クラブ組織』という断面でも課題を挙げている場合もあります。
2.監督選任の理由
現状の課題を把握して、それを解決できる人を選んでいるはずです。
なぜ後任の監督は選ばれたのか?というのも大きなポイントです。
明確な理由が書かれているレポートと、曖昧な記述しかないレポートで差がありました。
3.目指すサッカースタイル
課題や監督選任の理由とも重複します。
クラブが抱えている課題を解決するために、どんなサッカーをするのか?ということです。
後任の監督が目指す(フロントが目指して欲しい)サッカースタイルは、ファン・サポーターやメディアも関心が高いです。
他のクラブと比べても、ジェフ千葉は『サッカースタイル』を大事に考えている印象があります。
4.クラブの目標
課題を把握し、適切な監督と目指すサッカースタイルが定まりました。
では目標、または最低限キープしたいゴールは、どこに置いているのか?が、全てと言ってもいいかもしれません。
目標から逆算した選任もあり得ます。
5.その他
各レポートを読んでいると、気になるポイントがありましたので紹介したいと思います。
2012年 木山監督 : 勝利へのこだわりと競争意識を高めてJ1へ
新体制および新加入選手の発表会見のレポートを読みました。
2,246文字のレポートで、新加入選手の紹介に多くが割かれています。
現状の課題
課題について、明確な言葉が少ないです。
その中で強引に課題部分を探してみました。
J1昇格のため、甘えを捨て、クラブを愛する全ての方々からの信頼と信用を取り戻す、そしてJ1のステージを奪い取る、という気持ちの表れであることを説明いたしました。
選手の補強にあたっては、チーム内でも競争があり、勝利へのこだわりをもったチームにしたい。
つまり課題として認識しているのは、2点になります。
-
- メンタリティーの課題: 甘えがあり、勝利へのこだわりが足りない
-
- クラブ組織の課題: チーム内競争(=選手層)が少ない
サッカースタイルに関する言及は、見当たりませんでした。
2011年シーズンを観ていないはず…なので、クラブとしての位置付けが分かりませんでした。
前年はリーグ戦6位と、J2リーグの中では上位でしたので、選手のクオリティーには一定の自信が伺えます。
監督選任の理由
監督選任の理由については、明確な記述がありました。
木山隆之監督は、ジェフの目指すサッカーと同じ方向性をもった監督であり、様々なカテゴリーでの監督経験があること。そしてサッカーに対しての深い情熱を持っている、という理由から招聘した。
『サッカースタイル』について、同じ方向性という曖昧な表現でしたので、課題では取り上げませんでした。
『甘えがあり、勝利へのこだわりが足りない』というメンタリティーの課題を、『深い情熱』で解決してもらおうという意図に伺えます。
その上で、各カテゴリーの監督経験が重要になると考えてたと読み取りました。
自分は、毎試合観ている訳でもなく、練習は観た経験すらありません。
そのため、メンタリティーの課題に対して、どうアプローチしたのか?を理解できていません。
選手層の問題は、フロント側の課題と考え、木山監督にピッチ上の課題解決に専念してもらう方向だったと思います。
目指すサッカースタイル
先程と同じく、同じ方向性という曖昧な言葉しかありません。
クラブの目標
目標については、明確な記述がありました。
今シーズンの目標はJ1昇格、そしてその先では一つでもタイトルを取りたい
この記事を書いている2020年シーズン前も変わりませんが、クラブとしてJ1昇格という大きな目標を掲げています。
ただJ1生活の先まで見据えた目標は、希少に感じます。
その他
このレポートを探している時に見つけた別記事ですので、全く話が飛びます。
2011年のシーズンシートオーナーには『お礼の電話』があったようです。
選手から電話というパターンもあったようです。
ふと思うと過去はシーズンシート継続の際に、署名部分が直筆の手紙だった記憶です。
同じ席種のシーズンシートしか持っていないので、ファンサービスの質が落ちているのかな?と思いました。
ここ数年FC東京のシーズンシートを手放したので、他クラブの事例が分かりません。
Jリーグとしての時流が知りたくなりました。
2013年 鈴木監督 : 勝利へのこだわりと決定力アップでJ1へ
2013年鈴木監督は、新体制発表会見のレポートを読みました。
8,848文字のレポートで、新監督や新加入選手、新テクニカルダイレクターなど多くの情報が詰められている印象です。
現状の課題
テクニカルダイレクターも交代となったので、現状の課題への言及が比較的多いです。
(過去のジェフ千葉と比較した箇所)練習もしたし競争もあった。勝負にこだわり、勝つことの喜び、負けた時の悔しさというものを、本当に選手もチーム全体も持っていたと思います。
一つひとつのプレーの中での勝負にもこだわって欲しいし、練習試合でも何でも「勝つ」ということにもっともっと貪欲にならなかったことが、最終的には勝点が足りなかったり、大事なところで(勝ち)星を落としたりということにつながってしまいました。
昨シーズンは勝負弱さ、決定力のなさがあったと思うので、その点は改善をしていきたいと思っています。
レギュラー選手が故障した時にバックアップの選手が虎視眈眈と狙っているような状況を作らないと、チームが良い状態で走り続けるのは難しいと思います。
この何年かはユースの選手とトップの選手が一緒になって練習する機会は本当に少なかったと思います。
色々な表現の仕方で、課題を挙げています。
簡単にまとめてしまうと、3点です。
-
- サッカースタイルの課題: 『決定力がない』
-
- メンタリティーの課題: 『勝負にこだわり、勝つことに貪欲にならないといけない』
-
- クラブ組織の課題: 『バックアップが薄い』、『トップチームとユースの連携が薄い』
使っている言葉こそ違いますが、メンタリティーの課題とクラブ組織の課題は、2012年と変化がないように感じます。
ただ選手層が薄いと感じている要因として、ユースとの連携に言及しているのが重要だと思います。
また2012年はリーグ戦5位・プレーオフ決勝敗退で、J1昇格を逃しました。
メンタリティーの課題は、リーグ戦で勝てなかったことより、プレーオフ決勝という『This Game』を勝てなかったことを指しているのかな?と思いました。
サッカーのスタイルとして、攻撃面に課題を見出しています。
守備やビルドアップには問題が少なく、ゴール前の工夫すれば、勝ち点を積み上げられる認識だったと推測されます。
監督選任の理由
課題はたくさんの記述がありましたが、鈴木監督を選んだ理由は一言でした。
それらを踏まえ、経験豊富な鈴木淳監督にお願いしました。
木山監督のレポートでは、もう少し理由が書かれていました。
『なぜ』鈴木監督なのか?を窺い知ることはできませんでした。
目指すサッカースタイル
勝利に貪欲になるという課題解決のために、少し変わった言葉を使っていました。
私も選手もスタッフも、そしてサポーターの皆さまも、サッカーというものを楽しまないといけないと思っています。
楽しくサッカーをするということじゃなくて、本質的なところで本当にサッカーが好きで、真剣にサッカーに取り組むということが楽しさにもつながります。あるいは厳しいトレーニングに対しても真摯な態度で積極的に取り組むことが、サッカーを楽しむということにもなると思います。
『楽しい』という言葉が独り歩きしそうですが、サッカーに真摯に取り組むという意味合いのようです。
具体的にどういったアプローチだったか?を確認していませんが、ホームゲームを観る限り、選手の積極性を引き出したいのかな?と思っていました。
このレポートを読んで記憶を辿ると、選手の積極性を引き出すことがメンタリティーの課題を解決する方法としていたように思えます。
得点も失点も多い出入りが多いサッカーでしたが、選手の躍動感があった時期だったと記憶しています。
具体的なサッカースタイルについての記述です。
テクニカルな部分の話をすると、今のインターナショナルなサッカーのトレンドはしっかりボールをつないで攻撃をするということ、それから激しいプレッシャーをかけて前線からボールを奪うというサッカーだと思います。
特にゴール前の崩しの部分で、いろいろなバリエーションが必要だと思います。このパターンは形になるというのをある程度作れると、さらに得点が増すのではないかと思っています。
サッカーのトレンドは、2020年も劇的には変わっていないと思います。
世界のトレンドに遅れないというのは、いつの時代も、どこの国でも変わらないでしょう。
鈴木監督は『しっかりボールをつないで攻撃する』というポイントによりフォーカスしたサッカーに感じました。
ホームゲームだけですが、ボール保持率は高かったですし、ビルドアップして攻撃するスタイルは言葉通りでした。
2012年と比較すると、得点は61点から68点に増えていました。
鈴木監督のシーズン初めの言葉は、後々読んでも理解ができました。
クラブの目標
自分の記憶があやふやですが、2013年シーズンのスローガンが『絶対J1!』だったようです。
レポートの中でも、社長、テクニカルダイレクター、監督の3人全員が『J1』と言っています。
その他
テクニカルダイレクター交代も重なっていましたし、『ユースとの連携』を課題と捉えていました。
そのため中長期の目標についても語られていました。
アカデミーのスタッフ選任の理由も書かれていました。
育成とトップチームの橋渡しをする
という役割を担うと江尻コーチが語っています。
アカデミー出身選手の検証は難しいですが、成功でも失敗でもないくらいかな?と思っています。
答えが出るには、もう少し時間が必要な気もします。
また後々の監督との比較をしている中で気になったのは、予習についてです。
私自身はしばらくJ1の舞台で戦っており、久しぶりのJ2ということもあり、ゲームはそんなに見ていません。
『そんなに』が何試合を意味しているのか?分かりませんが、クラブ始動とともに分析を深める予定だったようです。
後々の監督と比較すると、予習が少ない印象です。
2014年 関塚監督 : ゴール前の局面の修正と環境変化で巻き返す
2014年関塚監督は、就任記者会見のレポートを読みました。
2,643文字のレポートした。
シーズン途中の就任でしたので、現状をどう打破するか?に多くが割かれています。
現状の課題
成績不振で監督交代となったので、どこを課題にしているのか?は、非常に重要です。
課題についての箇所を引用します。
ただ僕自身が川崎フロンターレでの監督や鹿島アントラーズ時代のコーチ等で対戦していた時のジェフは、アグレッシブさと勝負強さがあった。
これは中盤戦では勝てても、結局ゴール前で守ることや、点を取るところでどのように結果として現れているのかと、その辺のところはもう少し上積みしないといけない部分なのかと大きな感じでのイメージは持っています。
これらを簡単にまとめると、2点です。
-
- サッカースタイルの課題: 『ゴール前の攻撃・守備に問題がある』
-
- メンタリティーの課題: 『アグレッシブさを失っている』『勝負強さに欠ける』
サッカースタイルの課題は、前任(1試合斉藤監督代行を挟んでいますが…)の鈴木監督とほぼ同じです。
メンタリティーの課題も、これまで使っていた『勝利へのこだわり』という言葉こそありませんが、ほぼ同義の言葉です。
『アグレッシブ』という言葉を、どう解釈するか?は、人によって異なるでしょう。
個人的には、勝利のために覚悟を持って強い選択をするという意味に捉えました。
現状の課題で初めて守備についての記述が出てきました。
ただゴール前の局面という意味での守備であり、守備のみにフォーカスしている印象はありません。
その他に目新しい項目はなく、関塚監督への監督交代をカンフル剤にしたいという意図なのかな?と感じました。
監督選任の理由
監督選任に関する記述です。
今シーズン何よりJ1に昇格するという最大の目標の為にスタートしてきまして、ここで新たに、戦うチームというのをもう一度築き上げることができる指導者ということで、関塚監督にお願いすることになりました。
かなり曖昧な理由に感じました。
ロンドンオリンピックでも、クラブでも実績のある監督に任せれば、上向くという期待なのか?レポートから深い選任理由が抜けていただけなのか?分かりませんでした。
シーズン途中の監督交代なので、多くの理由は不要で、とにかくクラブの状況を変えたいという意図という風にも捉えられます。
また関塚監督が千葉出身であることの記述があります。
『千葉』というワードで、クラブとファン・サポーターを繋ぐ(Unite)狙いもあるのかな?と感じました。
そして『戦うチーム』という言葉は、ここで初登場しました。
目指すサッカースタイル
監督選任の理由を、ここで説明しているようでした。
スタイルとすれば僕自身は攻撃的でアグレッシブなサッカーをやっていきたいと思っています。ただそれは攻撃的と言っても、世界のサッカーのように攻守両面、そして切り換えの部分もトータル的に底上げしていかないといけないと思いますから、そこのところはしっかりと世界でも戦える個人、そしてチーム作りというのを持ってやっていきたいと思います。
世界のトレンドに遅れないというのは、鈴木監督の口からも出た言葉です。
攻撃によりフォーカスするのも、大きな違いにはなりません。
決して今までの上積みがマイナスになっているとは思いません。
この言葉からも、サッカースタイルは継続したいという狙いが見えます。
基本路線は変えずに、監督交代による環境の変化を求めた印象です。
個人的な感覚ですが、関塚監督は守備にある程度、重きを置いていた気がします。
ゴール前の局面に課題だと語っているので、攻撃はあと一歩の詰めを深化させようとしていました。
中盤戦では勝てているという認識をしているので、手堅い試合運びをすることで、負けるリスクを減らす(=勝ち点を積み上げる)サッカーだったと記憶しています。
クラブの目標
J1昇格は、直近のクラブ最大の目標です。
その上で、更なる高みを目指していました。
ただ本当に力をつけて、しっかりとJ1で上位、そしてACL優勝を狙える、そういう地盤からしっかり作っていくということが非常に大事だと思っています。
木山監督もJ1昇格の先の『タイトル』を中長期の目標として語っていました。
他のレポートを読んでいても、それより高いACL優勝という言葉は、かなり異質でした。
個人的には、見ている世界が広く、高い頂を見据えて、直近の道を踏みしめる感じがしました。
シーズン途中の監督交代の閉塞感を打破するためにも、いい言葉だったと思います。
その他
鈴木監督に続いて、予習についてです。
僕もここの数試合の映像、それから解説として1試合フクアリに来させてもらって観ました
やはり急転直下の監督交代だったんだと感じました。
できる範囲の予習(=分析)をして、まだ続くシーズンに向かうというのが強く出ています。
2016年 長谷部監督代行 : 連動した守備と一体感を取り戻しプレーオフ圏内へ滑り込む
2016年長谷部監督代行は、長谷部監督代行と高橋GMの囲み取材レポートを読みました。
6,749文字のレポートで、長谷部監督代行と高橋GMのインタビュー形式になっています。
前任の関塚監督と同様に、シーズン途中の就任でしたので、現状をどう打破するか?に多くが割かれています。
現状の課題
レポート全体から危機感しか感じない内容です。
課題に関する記述も多く、引用するとレポート全体になってしまうくらいです。
その中で、自分が気になった箇所だけを引用します。
まず、チームの一体感をさらに高めたい。
これまでチームとしてやっていたことが間違っていたわけではなくて、少し足りなかったというか、ツメの甘さがあったと思います。そこを修正し、連動する意識だけではなく、ボールを奪うこと。
やはり失点が多いというのは大きな課題です。
失点シーンとかも含めると、例えばお互いのコンビネーションのマークの受け渡しとかディフェンスラインにギャップが出来てしまった失点というのは、チーム戦術、チームのコミュニケーションや連動性からきているというのはクラブとして認識していますし、長谷部監督代行にも伝えています。
これらをまとめると、2点です。
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- サッカーのスタイルの課題: 『連動した守備』、『ボールを奪うチャレンジ』
-
- メンタリティーの課題: 『チームに一体感が薄れている』
長谷部監督代行就任時は、これまでと異なり、守備に課題を抱えているという認識です。
攻撃に関する記述はほぼゼロで、『攻撃に絡む人数』という言葉しかありません。
ホームゲームだけの観戦ではありますが、クラブの流れは知っていたつもりです。
しかし今回各レポートを読む中で、チームの課題が攻撃から守備に移ったことは、大きな転換点に感じました。
『一体感』、『連動』という言葉に象徴されるように、チームがバラバラになりかけている現状が伺えます。
『ツメの甘さ』は、球際の強さを指し、ボールへのチャレンジが少ないという課題に読み取りました。
これまでのレポートでは、ゴール前の攻撃・守備に向けられていたことです。
今回のレポートでは、『ゴール前』という言葉がないことから中盤戦でも勝てなくなったという認識とも読み取れます。
監督選任の理由
メディアから人選についても質問がありました。
今回監督を交代する上でポイントは3つあります。1つは、今から選手の目線を下げずにもう一度しっかり昇格に向けて(引っ張れる)パーソナリティがあるか。2つめは、選手に対する言葉の影響力があるか。3つめは監督自身が最後までチームを信じて昇格に向けて強い意志を持ってやれるかどうか。その3つも含めて総合的に判断して長谷部茂利さんにお願いすることになりました。
監督のパーソナリティーについてのポイントしかありません。
強力なリーダーシップで、クラブを上向かせたいという狙いでしょう。
シーズン途中の監督交代という断面だと、前任の関塚監督と同じですが、余裕がなく、切迫感があります。
『チームに一体感が薄れている』というメンタリティーの課題をクリアできれば、サッカースタイルの課題も解決できると考えているとも捉えられます。
(クラブの成績は定期的にチェックしていると語っていますが)内部昇格の形で急な監督交代なので、何かしら理由を挙げた感があります。
目指すサッカースタイル
守備面に大きな課題を抱えていたので、守備に関する記述しかありません。
守備で一番大事なボールへのプレッシャーに対する意識と質。そこが変わることでいろんなことが変わって、ボールを奪えるようになると思います。我々が足りなかったのは、そこです。
先程も書きましたが、守備でも『ゴール前』に限らずボールを奪えていないと考えているようです。
これまでも鈴木監督や関塚監督も世界のトレンドに遅れないという文脈の中で、プレッシャーや切り替えを求めていました。
しかし守備や切り替えの所が大きな問題になったので、テコ入れする形です。
またメンタリティーの課題に対しての質問もありました。
感じているのは、心が司るということ。気持ち次第でいろんなことが動いてくると思います。
まずは選手に対して、嘘偽りなく自分の本音でぶつかっていく。
選手の目線に立って、真摯に向き合うことで、選手の後押しをしたいという意味だと思います。
個人的に名著だと思っている本の一節です。
スカウティングの一番の目的は、選手たちを堂々とピッチに送り出してあげることに尽きます。
サッカースカウティングレポート 超一流の分析
長谷部監督代行も、就任直前までスカウティングの仕事しているので、同じマインドで語っています。
そういった意味では、長谷部監督代行に任せた理由は納得できます。
クラブの目標
クラブの成績が上向かないことで、監督交代しています。
そのため当然目標に関する質問があります。
まずはプレーオフ進出です。そこから勝ち上がって、J1昇格。
これまでもJ1昇格という大目標は変わっていません。
しかしプレーオフ圏内が具体的な目標として挙げられたのは初めてです。
現実的な数字を掲げないと説得力が出ないとは言っても、これまでのレポートとは毛並みの違った目標に感じました。
またプレーオフ圏内への目標として、17試合で勝ち点27(1試合平均1.6ポイント)を挙げています。
メディアを通じてデジタルな数字を出すのが、高橋GMのやり方でしょう。
その他
高橋GMへの取材の最後は、クラブ内とドタバタぶりが出ています。
櫛野GKコーチをU-18から引き上げたことで、U-18のGKコーチが不在になりました。
またフィジカルコーチ、アウェイのスカウティング担当も不在だったようです。
それだけ急場しのぎだったことが伺えます。
クラブの成績をチェックしていても、関塚監督の後任が決まらないので引っ張った結果なのかな?と疑ってしまいます。
まとめ
『勝利へのこだわり』や『アグレッシブ』といったメンタリティーの課題は、常に言及されています。
その中で、鈴木監督と関塚監督は、ゴール前の攻撃にポイントを置いています。
関塚監督は守備も意識していますが、中盤では勝っているという認識です。
実際に試合を観ていても、ポゼッションでは上回っている印象でした。
そう言った認識が通用しなくなり、守備へのシフトチェンジを余儀なくされたのが長谷部監督代行でした。
次回は、攻撃の揺り戻しが起きたエスナイデル監督以降のレポートを紹介します。
yas-miki(@yas-miki)
ジェフ千葉の観戦情報です