Jリーグは、新型コロナウイルスによる中断を解除し、リーグ戦を再開しました。
再開直後の2節は無観客試合で、その後は『制限付き』の有観客試合です。
その後もファン・サポーターのゾーンは、『超厳戒態勢』というグレードで運用されています。
感染者の状況を睨みながら、『制限緩和』の方向に進みたい意図はあります。
しかしながら全国の感染者に関するニュースを見聞きしていると、『制限緩和』は難しいのかもしれません。
再開後の有観客試合を観戦して来ましたので、感じたことを紹介したいと思います。
今後、『有観客試合っでどんな感じなの?』とスタジアムでの観戦を検討をしている方の参考になれば、幸いです。
有観客試合で感じたポジティブな点
- サッカーがある日常が動き出した安心感と期待感
- 選手や指導者の声が聴こえる
- 荷物が置き放題
有観客試合で感じたネガティブな点
- 『スタジアムに行ってもいいのか?』という悩み
- 同じ座席から観戦できない
- 応援が難しい
- スタジアムグルメのバリエーションは限定的
- マスコットとのふれあいも限定的
- アウェークラブのファン・サポーターの扱いが難しい
これらを詳しく紹介します。
自分の立ち位置を整理
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- J2第4節 栃木SC@ジェフ千葉
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- J2第6節 東京ヴェルディ@ジェフ千葉
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- J2第7節 モンテディオ山形@東京ヴェルディ
- J2第8節 アルビレックス新潟@東京ヴェルディ
- J2第10節 FC琉球@東京ヴェルディ
- J3第10節 ガンバ大阪U-23@YSCC横浜
2013年シーズンからジェフ千葉のシーズンシートを保有していて、2020年シーズンもシーズンシートを保有しています。
シーズンシートの券種は、『Sバック指定席』という指定席です。
そしてシーズンを通すと、フクダ電子アリーナで開催される試合の70~80%くらいは、参戦しています。
アウェーは、首都圏で開催される試合を、1シーズンで2~3試合くらい参戦しています。
どちらかと言うと、ジェフ千葉が関わらない試合の方が、多くスタジアムで観戦しています。
また自宅が味の素スタジアムに比較的近いので、東京ヴェルディの試合を年に3試合ほど観ています。
ある種J2党の人が、有観客試合を観に行った感想です。
これまでの試合との相違点
中断前の試合との相違点は、数え切れません。
この後にポジティブな点とネガティブな点を紹介するので、気になった点だけ紹介したいと思います。
入場時の手間が増えた
フクダ電子アリーナでも、味の素スタジアムでも、観客は最初に検温をします。
検温を受けるまでに、社会的距離を取った待機列に並ぶ必要があります。
その後に手荷物検査と改札という、中断前と同じ流れにです。
改札はQRチケットであれば、同じ作業ですが、紙チケットであれば、自分でもぎらないといけません。
YSCC横浜のホームゲームでは、専用フォームに名前や連絡先、座席番号の入力が必要でした。
各所の壁にQRコードが貼ってあり、QRコードから専用ページに飛びます。
スタンドにいらっしゃるスタッフさんも、QRコードのボードを持っていました。
専用フォームで、必要事項の一つとして、座席番号を入力しました。
どんな方法であっても、1手間、2手間かかり、意外と面倒です。
反面、手荷物検査では、警備員さんが手荷物に触れないこともあり、かなり緩い印象を受けました。
ボールパーソン数が少なくなった
中断前の試合では、20人弱のボールパーソンで運営していました。
ボールパーソンには、ボールを持っていて、ピッチへ返す役割の人とボールを拾う役割の人がいます。
中断後はボールを返す役割の人がいるだけになりました。(おそらく6人か8人です)
ジェフ千葉は、これまでアカデミーの選手がボールパーソンを務めていましたが、中断後はスタッフの大人が務めています。
感染拡大を予防するためですが、なぜスタッフの大人なのか?は分かりません。
また東京ヴェルディの試合では、コーナーフラッグの所にも、ボールが用意されていました。
恐らく普段の試合より、用意しているボールの数が多いと思います。
ボールパーソンの数を絞っているため、コーナーキックの準備が難しいという事情があるのでしょう。
飲水タイムで試合の流れが止まる
90分あれば、流れがいい時間帯もあれば、流れが悪い時間帯もあります。
これまでは、試合が大きく止まるのは、ハーフタイムが主でした。
中断後の試合は、前後半の45分の真ん中で、飲水タイムが入ります。
選手同士がベンチ前で話し合う、監督・コーチの指示を受けるなどの手を打って、流れを変えるパターンが見られました。
ある種、22.5分クオーターの試合と考えることもできるかもしれません。
再開後の有観客試合で感じたポジティブなこと
サッカーがある日常が動き出した安心感と期待感
シーズン中は、J2を中心として、毎週のようにスタジアムに出かけていました。
スタジアムで週末を過ごすのが日常でした。
新型コロナウイルス影響で中断した期間は、外出自粛も相まって、『やることがない』週末でした。
珍しくDAZNで過去の試合を観ていました。
自分にとっては、人生の楽しみの1つが無くなってしまっていました。
制限付きですが、スタジアムで観戦することができるのは、自分にとっての日常が戻ってきた感じです。
『日常が戻ってきた安心感』と『Jリーグが動き出した期待感』を、強く感じました。
有観客試合の1試合目となった栃木SC戦では、栃木SCの選手がピッチ内練習に出てきた際にも、大きな拍手が起こりました。
東京ヴェルディの味の素スタジアムでも、モンテディオ山形の選手にも拍手が起こりました。
サッカーは、対戦相手がいないの試合にならないので、相手クラブへの敬意を忘れないサッカーファミリーの温かさを感じます。
自分と同じ『安心感』や『期待感』を持った方がスタジアムに集まったと理解しています。
選手や指導者の声が聴こえる
DAZNで無観客試合を観ていた際にも話題となりましたが、選手や監督・コーチの声が明瞭に聴こえます。
これまではゴール裏のサポーターを中心とした声援に、かき消されていた声でした。
ポジショニングやプレッシングの指示やパスの要求、レフェリーへのアピールなど、色々な声が聴こえます。
個人的には、ボランチのポジショニングへの指示を意識して聴いていました。
ガンバ大阪の宮本監督が著書で書いていた一節です。
サッカーの世界には、「後ろの声が神の声」という昔からの言葉があります。僕自身もボランチ(守備的MF)をやっていたときに、後ろにいるセンターバックがしゃべってくれないと、「どうすればいいんだ?」という感じになりました。コーチングは背中についた「目」ともいえるのです。
この言葉が強く残っていました。
観客の声援に制限がある環境では『神の声』が聴こえるので、とても勉強になりました。
モンテディオ山形の選手は、プレスが効果的な配置になった際に、「嵌った、行け」という指示をしていました。
その言葉をキーにして、チームとして連動したプレスを始めるのは、チームの共通理解を感じました。
荷物が置き放題
Jリーグのガイドラインに沿って、座席は数席空けて販売されていました。
確かフクダ電子アリーナの自分の席周辺は、3席空いていた記憶です。
自由席のチケットを購入した味の素スタジアムでは、4席空いていました。
普段であれば、隣の空いている席は、誰かの席なので、複数の座席を使用することはできません。(スタンドがガラガラなら別だと思いますが…)
しかし制限付きの有観客試合では、誰のものでもない座席が、左右にありました。
ありがたく荷物を置かせてもらいました。
特にフクダ電子アリーナでの東京ヴェルディ戦は、時折雨が降っていましたので、コンクリートの地面に荷物を置かなくていいのは、とても便利でした。
今後、制限が緩和されると、空いている座席が少なくなります。
そうすると、空いている座席を使いにくくなると思います。
並ぶことが少ない
チケットの枚数を制限して売っているので、スタジアムに来るお客さんの数も減ります。
そのためグッズショップや飲食売店で並ぶ機会が少なくなりました。
フクダ電子アリーナでの一例です。
味の素スタジアムでの一例です。
並ぶことが好きでない性格なので、並ぶことのストレスが減ったことは、けっこう大きなメリットに感じました。
再開後の有観客試合で感じたネガティブなこと
『スタジアムに行ってもいいのか?』という悩み
この記事を書いている7月26日では、東京都を始め、首都圏で感染者が増えています。
再度、不要不急の外出自粛に関する社会的圧力が強まっている中で、『サッカー観戦に行ってもいいのか?』と躊躇いがあります。
仮にサッカー観戦に行った後に、自らが感染者になる可能性はゼロではありません。
自らのコミュニティへの影響を考慮すると、難しい選択に感じています。
自分は、『Jリーグは最大限の対策をした上で、有観客で試合を開催している』、『スタジアムでのサッカー観戦は、自分の人生にとって大事な時間だ』と割り切っています。
仮に自らが感染者となった場合の誹りは、甘んじて受け入れるつもりです。
こういった覚悟を持った人しか、スタジアムに集まれないという環境は、正直、非常にツライです。
同じ座席から観戦できない
フクダ電子アリーナで開催される試合は、指定席のシーズンシートを持っていたので、ずっと同じ席から観ていました。
同じ『Sバック指定席』のチケットを買いましたが、これまでの自席は売っていませんでした。
またチケット争奪戦は早い者勝ちですので、毎回同じ席を買うということも難しいと感じました。
シーズンシートの自席からの景色です。
中断明け2試合の座席からの景色です。
何年も同じ景色でサッカーを観ていたので、なんとなく感覚が狂ったように感じます。
一方で「新しい景色を観られる」とポジティブに捉えている方もいらっしゃいました。
個人的には、定点観測したいと思っているので、毎試合で座席が変わるストレスの方が大きく感じました。
普段から自由席から観戦している方は、あまり気にならないかと思います。
自由席でも、これまで座っていた席が、着席不可になってしまう可能性は、多分あると思いますが…
応援が難しい
元々バックスタンドの指定席に座っているので、声を出して応援することはありませんでした。
また『試合を観る』ことに重きを置いていて、『応援する』ことは二の次、三の次になっていました。
とは言え、サポーターのチャントやコレオグラフィーなど応援の熱を感じることは、とても好きです。
再開後は、応援スタイルにも、多くの制限が設けられています。
よく話題に上っている、『拍手OK』、『手拍子NG』は、かなり違和感がありました。
ホームのサポーターしかいない観客席ですので、ホームクラブを応援したい熱は感じます。
その熱を『拍手』に変えていました。
しかし試合が進み、佳境を迎えると、『手拍子』で後押しすることもありました。
『手拍子NG』のルールがあるので仕方ないですが、サポーターの気持ちは、物凄く分かります。
特にセットプレーは、『手拍子』の方が圧力になる気がするので、もどかしさを感じました。
ガンバ大阪のホームゲームでも、「ガンバクラップ(勝利時の拍手/声を出さない)」について、Jリーグと認識違いがあったようです。
他のスタジアムでも、応援をしたいサポーターのもどかしさからの問題が起きているようです。
ホームのクラブが、サポーターと一緒に、どうホームアドバンテージを作るのか?非常に難しいです。
リモート応援で、録音したサポーターの声を流すのは、その一環でしょう。
リモート応援のスタジアムに行っていないので予想になりますが、普段のチャントが流れていると、より『手拍子』で後押ししたくなるのかな?と思います。
スタジアムグルメのバリエーションは限定的
観客数に制限を設けてチケットを販売しているので、当たり前ですがスタジアムに来る人が減ります。
それに合わせて開店している飲食売店が少ないです。
ジェフ千葉のフクダ電子アリーナでは20店弱が稼働していた記憶ですが、再開後は4店でした。
東京ヴェルディの味の素スタジアムは、比較的通常稼働だった気がしましたが、新しい生活様式を意識した運用をしていました。
飲食売店の数が減ると、スタジアムグルメのバリエーションが限られてしまいます。
スタジアムグルメも、サッカー観戦の楽しみだと考えているので、かなり寂しさを感じました。
仕方ないと分かっていても、つい「今日は何を食べるか?」という悩みを奪われたと思ってしまいます。
マスコットとのふれあいも限定的
三密を避けるため?に、マスコットはピッチ内での活動になっています。
マスコット目当てでスタジアムに来る方を観ましたし、ピッチ外の楽しみの1でもあります。
ジェフ千葉のフクダ電子アリーナは小さいスタジアムですので、マスコット達がピッチ1周歩いていました。
一方大きいスタジアムである東京ヴェルディの味の素スタジアムでは、メインスタンド側での活動でした。
スタジアムの大きさが、活動を限定しているのは、残念に思いました。
アウェークラブのファン・サポーターの扱いが難しい
Jリーグの公式ホームページの記述を引用します。
超厳戒態勢期間においてアウェイゲームの観戦はお控えください。それに伴いビジター席の設置はございません。アウェイチームのユニフォーム・グッズを着用しての入場・観戦もできませんので、あらかじめご了承ください。
文字だけを読むと、『アウェークラブのファン・サポーターは来ないで下さい』だと思います。
しかしながら、味の素スタジアムの試合では、アウェークラブを応援している方が散見されました。
特にアルビレックス新潟戦で、アルビレックス新潟の後半終了間際(90+3分)のゴールで、バックスタンドの1/4ほどが沸き上がりました。
中立の立場で観戦してる自分が言うのも、説得力がないですが、正直、不快でした。
ユニフォームやグッズを身につけるのは、言語道断です。
しかし外見では、どっちを応援するのか?分からないモグリのファン・サポーターに、どう対処するのか?は大きな課題に感じました。
まとめ
再開後の有観客試合を観戦して来ました。
まずはサッカー観戦という日常が戻ってきたことが、ありがたかったです。
試合・リーグ運営するのは大変だと思いますし、『日常が戻ってきた安心感』と『Jリーグが動き出した期待感』は、何にも代えがたいなと痛感しました。
声援が無いからこそ聴こえるピッチ上の声が、とても新鮮で、勉強になることが多かったです。
座席を空けてチケットを売っているため、荷物を隣の座席に置けるのは、隠れたメリットでした。
しかし、普段と同じ視点を得られなかったり、スタジアムグルメのバリエーションが限らたりしてしまいます。
大都市圏では、感染者が増えているため、まだまだ元に戻るのに時間がかかるように感じました。
またクラブやサポーターにとって、応援の形を作るのが難しいと思います。
何はともあれ、サッカー観戦に行けたことが大きな喜びでした。
yas-miki(@yas-miki)