2018年シーズンも終盤になりましたが、シーズンシートを持っているジェフ千葉は終戦です。
シーズン開幕前の期待値が非常に高かったため、こんなに早く昇格レースから脱落するとは思ってませんでした。
ゴール裏事情が分かりませんが、スタンドの空気が変わっているのは肌で感じます。
第38節の大分戦は、スタンドもピッチも緊張感ゼロと言ってもいい雰囲気でした。(自分はそう感じました)
迷走に迷走を重ねたエスナイデル・ジェフかな?と思うので、何がしたかったのか?を考えてみました。
どんなに素晴らしい設計図を描いたとしても、職人さんがダメなら、いい作品はできませんし、
どんなに腕利きの職人さんを集めても、設計図がダメなら、いい作品はできません。
今のジェフ千葉がどちらなのか?は、分かりません。
ただ監督が描いた設計図がどんなものであるのか?には興味があります。
ジェフ千葉の昇格も観たいが、「いい試合が観たい」
まず自分の立ち位置ですが、2017年シーズン、2018年シーズン共に、ホーム・フクアリの出席率は90%くらいです。
ここ6シーズンはシーズンシートを更新し、同じ席から観てきました。
しかしアウェーの出席率はほぼゼロ、DAZNも解約してしまったので、アウェーゲームの情報はゼロです。
スカパー時代は、J1は土曜日、J2は日曜日という何となくの決まりがありました。
そこでJ1はFC東京、J2はジェフ千葉と決めて、シーズンシートを購入し、定点観測していました。
そのため「ジェフ千葉のサポーターですか?」と聞かれると、答えに困ります。
勝ち点を積み上げて昇格して欲しいとは思いますが、それ以上に「いい試合が観たい」という希望の方が強いです。
そこはフクアリに来ている方と立ち位置が違うのかな?と感じます。
ここ2シーズンは、フクアリ以外のスタジアム観戦が減っていますので、サッカーを【観る眼】は落ちてきたと感じています。
J1基準、J2基準があるとするなら、J1基準を忘れてきた印象です。
また、エスナイデルさんの是非を決めたいとも思っていません。
他のクラブでは、なかなか観られないサッカーをしているという意味では、エスナイデルさんのサッカーはアリです。
しかし、勝ち点を積み上げてJ1を目指すという意味では、結果が出ていない以上ナシです。
そんな中で、こういうサッカーがしたいのかな?と自分の考えを整理したいと思います。
ボランチが王様
2017年シーズン開幕からほぼ2シーズンで、色々なフォーメーション、選手起用をしましたが、理想としているサッカーは変わらないのかな?と感じています。
大枠で観れば、2シーズンとも、ボランチ1人のフォーメーションで開幕し、ボランチ2人に修正しています。
2017年シーズンは1-3-4-2-2と1-4-3-3の併用でスタートしたと記憶しています。
2018年シーズンは1-4-3-3が基本でした。
シーズン前にキャンプやトレーニングマッチなど、長い時間をかけて用意したのが、ボランチ1人の並びでした。
そのためボランチ1人を理想としていると感じています。
エスナイデル・ジェフの代名詞である、ハイライン・ハイプレスを体現するためには、ボランチは1人に任せたいのでしょう。
攻守にやりたいサッカーがあったと思いますが、ボランチでボールを奪い、ゲームを組み立てる。
ボランチが王様で、彼に仕事をさせるために、周りがサポートする構図に観えました。
その王様が、熊谷アンドリューでした。
非常に多いタスクがある中で、大きな存在感を出していたと思います。
彼が活躍できる時間はジェフペース、ミスが出ると相手ペースを観ていて分かりやすかったです。
熊谷の良さを消す、仕事をさせない研究を各チームが実践してきました。
観ている方は、「このチームは、このやり方か!」と発見があって面白かったです。
セニョール・エスナイデルが描いたハイライン・ハイプレスの設計図とは?
2017年シーズン開幕とともに、「ジェフ千葉のサッカーが面白い」という評判を多く見ました。
「観たことのないサッカーだ」と自分も心躍る気持ちでした。
まず最終ラインの設定が異常に高い。積極的にボールを奪って、ポゼッションする。
非常に魅力的なサッカーに思いました。
「ハイライン・ハイプレス」という言葉は、J2を知る人の共通語になりました。
でも勝ち点を積み上げることができないのは、何か理由があるはずです。
そもそも何故ハイライン・ハイプレスなのか?
夏が始まると疑問が膨らみます。
サッカーの目標は、90分が終わり、主審が『ピッ、ピッ、ピー』と笛を吹いた時に、相手より多くのゴールを奪うことです。
相手より失点を少なくするという考えもあるかと思います。
そのための方法論として、種々の戦術がありますが、最強の戦術はないと思っています。
もし最強の戦術があるとしたら、世界中のクラブが採り入れるでしょう。
海外サッカーをあまり観ませんが、そんなことは起こっていないはずです。
少し話が逸れましたが、90分が終わった時に相手より多くのゴールを奪うためには、「自チームがボールを保持する時間を増やす」。
このポイントを重視しているように観えます。
ボールを保持する時間を増やせば、相手のゴールに迫る回数が増え、多くの得点が奪えるとの考えです。
ジェフ千葉の試合を観ていると、思い出した一節があります。
サッカーには、勝利へと向かう不変の方法論があります。それは、相手にボールを奪われないこと。私はこれを絶対的な正解と捉えています。
川崎フロンターレで究極のポゼッションサッカーをし、名古屋グランパスでも移植している風間八宏さんの言葉です。
かなり強い言葉ですが、ボールを保持していれば負けないということです。
ボールを保持する時間を増やすためにできることは、「ボールを奪われないこと」と「ボールを早く奪い返すこと」です。
風間さんは前者、エスナイデルさんは後者の色合いが強いと思います。
ボールを早く奪い返すためのハイプレスという当たり前の結論です。
ボールを奪われた瞬間に切り替えるのは、世界の潮流なのかもしれません。
サッカーでは縦と横の距離感が重要だと思っています。
ゾーンディフェンスが当たり前になり、パスを繋ぐという手段が選ばれる時代なので、ポジショニングが大事です。
縦の距離感を考えると、前線の選手が相手GKまで追い回せば、最終ラインも高くせざるを得ません。
ハイプレスをしようとすると、ハイラインになってしまう構図です。
最終ラインの設定が高くなれば、その裏には広大なスペースができます。
そこをGKと最終ラインの選手の個人技でなんとかしようとしています。
前に出たGKの上をボールが通過し、ゴールへ吸い込まれる、という漫画みたいな失点もありました。
分かりやすい漫画みたいなサッカーの設計図なのです。
一番やりたいのは攻→守の切り替え
点を獲るために、自チームのポゼッションを上げる。
そのために早くボールを奪い返す。
では、どうやってボールを奪い返すのか?
当たり前ですが、「相手の選択肢を消すこと」と「プレーの精度を下げさせること」です。
その場でボールを奪えれば最高ですが…
私はその昔、クラブワールドカップでバルセロナの試合を観た時に、このサッカーを意識するようになりました。
バルセロナも能力の高い(1対1で勝てる)選手が前からプレスをかけていました。
『1対1で少なくとも負けないこと』がベースにありました。
ファーストディフェンダーがプレスをかけて、相手の選択肢とプレー精度を奪います。
ボールを持っている相手選手にプレッシャーがかかり頭が下がると、ショートパスの選択になりがちです。
(プレッシャーがかかった状態で、振りかぶったロングキックは難しいです)
その苦し紛れに出したショートパスが理想より30cmズレたとします。
次のボール保持者へも同じようにプレスをかけると、その次のショートパスは60cmズレます。
その次…、その次…となると、どこかでパスとは言えない精度になりボールを奪っていました。
対戦相手には若き日のネイマールがいましたが、プジョールの前に何もできずに惨敗でした。
ただネイマールがいる前線にパスが来た時には、パスと言える精度ではなかったように観えました。
これと同じことを、エスナイデルさんも狙っているのかな?と思います。
必要なことは、「1対1で少なくとも負けないこと」と「ファーストディフェンダーから早くプレスをかけること」です。
攻→守の切り替えを早くして、前からプレスをかければ、ジェフの最終ラインにボールが来る頃にはパスではなくっている。
そうすれば対戦相手の攻撃力も削ぐことができると考えているように観えます。
やりたいサッカーや狙いをざっくりと考えてみました。
相手よりゴールを多く奪うためのハイライン・ハイプレスで、攻守に設計図を描いています。
できればもう少し掘り下げて残しておきたいと思います。
yas-miki