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2015年に発売してすぐに買ったが、

本棚に置いたままになっていたので、引っ張り出してきた

 

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湘南ベルマーレの2014年の快進撃があっての本だと思っているが、

それがなくても痛快なサッカーをするので、

監督の曺さんには注目をしていた

 

 

『湘南スタイル』という言葉は、

ここ数年の流行語みたいなものだと思っている

 

 

帯にも書かれてが、

『選手を成長させる』ということがキーワードになっている

 

 

選手が同じ絵を描いて、連動してプレーする

というのは、全てのクラブが求めている

 

 

どのくらいのレベルで実現できているか?が、

そのクラブの結果(順位)に現れると思っている

 

 

別の本で、

ベルマーレって大学サッカーみたいだな、と言われたんです。僕自身はドタバタとしたサッカーと言ったけれど、それと似たようにガチャガチャやっているなあ、と言う人がいて。

と紹介されていた

 

【読書】 低予算でもなぜ強い? ~湘南ベルマーレと日本サッカーの現在地~

 

 

これはネガティブな意味で使われていたが、

ポジティブな意味でも使えると思った

 

 

つまり意思統一がとれていて、同じ絵を描いているサッカーだと

 

 

実際にベルマーレのサッカーを観ても

同じ絵を描いてサッカーしていると感じたし、

いい意味で学生サッカーのようにも見える

 

 

その秘密の一端が書かれた本だった

 

 

サッカーの戦術面の記述は驚くほど少なく、

攻撃から守備、守備から攻撃の切り替えが速い

攻守両面において相手よりも人数をかける

パス全体に占める縦パスの割合を4割近くにする

と書かれているのがメインかもしれない

 

 

その中では、縦パスを重視していて、

相手のディフェンスの前でボールを横に回して、ポゼッション率を上げているだけでは絶対に勝てない!縦にボールを入れられることを相手は嫌がる。

と展開している

 

 

これには賛否あると思うし、

意味のある横パスを回して、結果的にポゼッション率が上がるのであれば、

それは一つの確たるサッカーだと思う

 

 

まだ現役で監督をされているので、手の内を明かしたくないという思いもあるだろう、

謙遜も含めて、こういう記述もあった

 

 

僕は自然に選手を振り向かせるようなカリスマ性を持ち合わせているわけでもないし、ましてやほかの監督よりも戦術を巧みに使い分けられるわけでもないと思っている。

 

 

Jリーグでは特殊なことに取り組んでいる印象はあるが、

ヨーロッパのエッセンスでサッカーを構築しているので、

戦術家というわけではないのかもしれない

 

 

そう断った上で、

それでも、指導する選手を好きになるという点では、ほかのどの監督にも負けたくないし、実際そこで負けてしまったら、チームは成長しないだろう。

と、人間的な部分を強調している

 

 

サッカーには色々なスタイルがあり、湘南は『縦』というキーワードでやっていて、

それがいい方向に進んでいる

 

 

そのサッカーは好きなので、継続して観ていきたいなと思っている

 

 

この本の本論は、選手を成長させるということで、

選手とは熱血教師や親のような接し方をしていると感じた

 

 

2012、2013年を振り返って、

選手たちとの関係を親と子どもにたとえたことがあるが、その意味でいえばまぎれもなく僕は子離れできない過保護な「ダメ親」だった

と自戒している

 

 

ただ「ダメ親」であったとしても、

選手の近くに寄りそう接し方は素晴らしいと思ったし、

選手も「観てくれている」と感じるのではないか?

 

 

会社生活に置き換えてみても、何もしてくれない上司よりは、

解決へのヒントを与えてくれる上司の方が、成長できると感じる

(それも程度によるとは思うけど・・・)

 

 

可能性のない選手なんていない。育成年代の指導が長かったので、それは身にしみてわかっている。

預かった選手たちを必ず成長させる。出会いと別れが繰り返される世界ではあるが、選手にはベルマーレというチームでプレーしたことで、もうひとつ上のレベルへ到達したと感じて欲しい。

 

 

この熱さは、曺さん独自の方法論だと思うし、

他の監督の本を読んでいても、違いを感じる

 

 

他の監督に熱さがないとは言わないし、

別のアプローチで選手と指導していると思っている

 

 

『可能性のない選手はいない』として必ずひとつ上へ押し上げるというのは、

選手からすると、やってやろうと思わせられる監督だろう

 

 

試合結果も求めているけど、

これほど選手を成長させるということも求めているのは特異だと感じた

 

 

若い選手が多いベルマーレにとって、

こういった教育者に近いマインドを持った監督がいるのは、

自らの価値を高めるために大きいはずだ

 

 

また金銭的に大規模なクラブでもないので、

若い選手を獲得して育てるか、ベテランに活躍してもらうかしか方法はない

 

 

それこそ選手に『成長』してもらうしか、

ベルマーレが生き残る方法はないように見えている

 

 

選手へのアプローチという意味では、面白い記述があった

 

 

実際にこうすれば選手たちからクレームをつけられてしまうが、練習の開始時間を含めて、はっきりしたスケジュールを事前に出したくないとさえ思ってしまう。

 

 

マンネリを防ぎ、緊張感を保つことを目的にしているが、

実に選手を成長させることを重視した教師に近い考え方だと思う

 

 

対極にある考えを持っている監督もいる

 

 

選手たちに日常のカレンダーを頭に入れさせておいて、常に全体の流れを把握させておくためだった。その方が体のバイオリズムを整えやすいだろうし、試合に向けて、フィジカル面でもテクニック面でも、コンディションを作りやすいはずだ。

(勝利のルーティーン より)

 

 

 

本のタイトルから『ルーティーン』という言葉を使い、

試合に合わせて同じバイオリズムで準備をするという考え方だった

 

 

こちらはベテランが多いガンバで結果を出してきた西野さんの言葉なので、

選手を自立した大人として見ているようだ

 

 

どちらの監督も結果が出ているので、

どちらが正解か?はないと思う

 

 

黒か白かということではなく、

その色が強いということで、2人が対極に観えた

 

 

西野さんがベルマーレを率いたら、

曺さんがガンバを率いたら、

結果は出なかったかもしれない

 

 

その時々で、引き出しから何を出すのがベストなのか?という

指導者としての深みが必要なのだと感じた

 

 

この本を読み終わっての感想は、

ベルマーレはいい指導者に巡り合えたなと思った

 

 

前述のように、クラブの方向として、

選手には成長してもらわないといけないので、

それに適任の熱い指導者だと感じた

 

 

非常に勉強になることも多く、

その多くは人間としての生き方に近い点だと思っている

 

 

シーズン前の特番では、厳しい練習を課しているように観えたが、

愛情を持って、指導しているはずだし、

それは本の端々から感じることだ

 

 

その上で、最後の責任は自分が背負う

 

 

サッカークラブに限った話ではなく、

社会人としてのリーダー論に通じる部分が多くあった

 

 

社会生活において、リーダーになることがないので、

この本で学んだことを活かす場面がないのが残念だけど、

頭の片隅に常に置いておきたい

 

 

個人的には、応援しているクラブあるけど、

Jリーグが盛り上がればいいと考えているので、

「いい試合が観たい」という言葉を多く使っている

 

 

それに関して、

見ている側もプレーしている側も面白いと感じられるサッカーを共有していく姿勢だけは、ベルマーレ独自のテーゼとして貫いてほしい。

と書かれていた。

 

 

平塚が遠く、足が伸びないとしても、

楽しいサッカーを提供し続けてくれるなら、

定期的に通わない手はないなと感じている

 

 

こういった考えのクラブが増えると、

Jリーグの未来も明るくなると感じる一冊だった

 

 

 

yas-miki

 

 

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