『クライマックス割』なる割引があり、珍しくフクアリとも重ならなかったので、東京ヴェルディの味スタへ向かいました。
2018年シーズンの第1節がジェフ戦だったので、参戦して以来の味スタでした。
J1昇格争いに絡んで、注目度が高くなっているのに、チケット代が安くなるのが不思議です。
J2の試合でバックスタンドの真ん中に座れて、1,500円は破格安さだと感じました。
ヴェルディに上手く釣られた形です。
小中学生の無料招待もやっていたらしく、バックスタンド~ゴール裏を見ると、めっちゃ埋まってました。
「ここだけ見れば、FC東京に負けてないよね?」と思うくらいです。
最終的には1万人を超えて、これまで観てきた中では一番緑に染まっていました。
ヴェルディ情報も、カマタマーレ情報も持ち合わせていませんでした。
毎試合ヴェルディから来るスタメンと試合結果のメールは読んでいますが、何をしているのか?は知りませんでした。
カマタマーレは3月のジェフ戦はフクアリにいた気がしますが、あまり記憶にありませんでした。
両チームともどんなサッカーをするのか?に注目していました。
どちらもボールをつなぐ意識があり、やりたい形が観えて楽しかったです。
基本のフォーメーション
カマタマーレは1-4-1-4-1でスタートしたことは分かりました。
ヴェルディが難しく、守備は1-4-5-1、攻撃は1-3-2-4-1のように観えました。
正解が分かりませんが、ヴェルディが可変システムに感じて楽しかったです。
赤をヴェルディ、青をカマタマーレとして、両チームの並びを重ねます。
ヴェルディがこの並びになることが少ないので、あまり役に立たなかったですが、中盤の3人が噛み合わない所が鍵かな?と思っていました。
90分が終わって感じたのは、「カマタマーレのボランチに入った田中が流石の働きだな」です。
ヴェルディがボランチに持たせていいという風に動いたので、散らす所と縦に入れる所が出てスゴイなと感じました。
1人のボランチが試合を組み立てるという意味で観れば、ジェフもカマタマーレも同じだったと思います。
それに対してジェフ戦では人を付けて、カマタマーレ戦だと付けない使い分けが面白いです。
カマタマーレボールの時に狙っていたこと
カマタマーレはボールを繋ぐ意識を持っているけど、常に誰かが裏を狙っていました。
トップだったり、サイドハーフだったり、インサイドハーフだったり、人が代わりますが、裏への動きが印象に残りました。
タイミングが合えば、積極的に使っていく、セカンドを皆で拾いに行く形に持っていきました。
ダメなら繋いで、次のタイミングを狙っていました。
サイドハーフがサイドに居座るより、裏を狙うので、サイドバックが前に出やすいのかな?と思います。
カマタマーレの裏を狙う攻撃に対して、ヴェルディは最終ラインを下げて対応していました。
敢えて最終ラインを下げたのか?下がってしまったのか?は分かりません。
ただ最終ラインが下がると、中盤のラインも下がるので、全体が後ろで構えることになります。
並びの一例です。
ヴェルディはインサイドハーフがボランチと同じ高さまで帰ってくることが多かったです。
サイドハーフも後ろとの距離を考えて、引き気味でした。
1-4-5-1になっていたかな?と思います。
赤をヴェルディ、青をカマタマーレとして、両チームの並びを重ねます。
赤のヴェルディから見ると、センターバックの所で2対1なので+1、ボランチの所が余って+1、カマタマーレのボランチが余って-1、トップの所で1対2なので-1です。
インサイドハーフが帰ってきて、バイタルエリアのスペースを埋めてしまうのが特徴だと思います。
カマタマーレのボランチをフリーにする時間が長くなっても、バイタルエリアを埋めることを優先していました。
裏を狙うカマタマーレの選手に対応して、『手数をかけさせる』ことを狙っていたように観えました。
J1だとスペースを埋めた所で、ボールホルダーにプレッシャーがかからなければ、正確な縦パスが入ります。
J2だと正確な縦パスが入る確率が下がります。
『手数をかけさせれば、どこかでミスが起きて、ボールを奪い返せる』という割り切りを感じました。
後半も苦しい時間が続きましたが、前からボールを奪いに行く、プレッシャーをかける回数は少なかったです。
それで守り切れた所に、ヴェルディのしたたかさがあり、今の順位に繋がっているのかな?と思いました。
カマタマーレからすると、中盤まではボールを持てて、攻撃できた感覚です。
その先の局面を打開→ラストパス→シュートのどこかで精度が上がらず、ゴールになりませんでした。
クロスバーに嫌われたシュートはアンラッキーでした。
どこかで1点獲れていれば、この感想にならなかったかもしれません。
実力のある選手が揃っているので、1年間ずっと、どこかの歯車が噛み合わなかったのかな?と感じました。
とにかくヴェルディの『したたかさ』が光った90分でした。
ヴェルディボールの時に狙っていたこと
カマタマーレは1-4-1-4-1のブロックを崩さずに守っていました。
ヴェルディは左サイドで動きがありました。
左サイドハーフの李が中でプレーし、インサイドハーフの井上がボランチのラインまで下がり、左サイドバックの香川が高い位置を取るパターンでした。
最終ラインを3人にして、ボランチ2人と時間を作っていたのが印象的でした。
これで並べてみます。
赤のヴェルディから見ると、中盤の真ん中で4対3なので+1、トップの所が1対2なので-1です。
仮にカマタマーレが前線からプレスをかけたら、数的同数なので、ボールを保持しにくくなります。
ゴールキーパーに逃げる道が多くなり、ショートパスで試合を組み立てることが難しくなるかな?と思いました。
ただカマタマーレをそれをせずに、自分の担当エリアを守る意識が高かったです。
そのためヴェルディの最終ラインやボランチの選手に時間があって、前を向けていました。
するとヴェルディの前線では数的同数が起こります。
ヴェルディは1トップ+2シャドーのような形になり、それに対応するカマタマーレの選手はセンターバック2人とボランチ1人です。
この数的同数ができると、ヴェルディが優位に立てました。
前に飛び出すシャドーの選手を捕まえられない、力のあるドウグラス・ヴィエイラをセンターバック1人で見ないといけない。
この形でシュートまで持っていったので、カマタマーレはきつかったと思います。
カマタマーレはサイドバックを最終ラインに残したり、インサイドハーフが帰ったりして、できるだけ選手間の距離を詰めていました。
それでもヴェルディは早いサイドチェンジでサイドバックを釣り出す、長いボールを使ってインサイドハーフが帰る時間を奪うなどなど…
前線で数的同数を作る駆け引きが上手かったです。
クラブの方針なのか?監督の好みなのか?足下の技術に優れた選手が多くて、色んなことができる印象でした。
結果的にはセットプレーからの1点だけでした。
たまにしかヴェルディを観ない自分からすると、この攻撃を90分続ければ得点ゼロにはならない感じでした。
ジェフ戦で輝いていた藤本を観られなかったのが残念でしたが、ヴェルディらしさのある攻撃でした。
試合の感想
ヴェルディの試合運びが上手かったです。
ボールを持たれても、しっかり守る。90分のどこかで、どんな形でも1点獲る。
90分終わると、ヴェルディが勝っている。
「何となく鹿島の試合運びだな」と後半に思いました。
Jリーグの初期に小学生だったので、ヴェルディって『したたかに』やって強いよなという記憶があります。
その記憶が蘇った90分でした。
カマタマーレがボールを持つ時間が長かったので、1点でも獲れていれば、違った感想かもしれません。
「悪くないけど、上手く回ってない」感が強くて、カマタマーレも応援したくなりました。
「J1昇格レースに残っている」、「ホーム最終戦」、「クライマックス割」、「小中学生無料招待」、「天気がいいデーゲーム」、「地元のPRが効いている」
どれが要因か?分かりませんが、スタンドが埋まったのは事実です。
自分も含めて、ライトな(ある種で結果に無責任な)観客が多かったのも事実です。
後半の苦しい時間も選手・ベンチ・ゴール裏が頑張るのは、どこのクラブでも見られる光景です。
それに乗るバックスタンドが無かった印象です。
「フクアリなら、もっと手拍子多いよな」と思いました。
ここがヴェルディの頑張り所なのかな?
セレモニーで羽生社長が「みなさんの気持ちでクラブが成り立っている」ということを言っていました。
日野市民として、すごく分かる。
FC東京という大きなライバルがいて、存在感が出せていないと思います。
でも味スタに来ると、緑を身にまとった人に出会えますし、みんなヴェルディが好きなんだろうなと感じます。
自分も含めて今日来たのは、ヴェルディを好きになる『見込みのある人』です。
言い方が悪いかもしれませんが、その『見込みのある人』を『どう料理するのか?』
ヴェルディに関わる全ての人が試されている気がしました。
試合が始まる前にもらって来ました。
ジェフからのお誘いもありますので、考えたいと思います。
yas-miki
味スタの紹介記事もあります